(英エコノミスト誌 2011年4月2日号) 日本の原発危機が長引き、東京電力、さらには国のエネルギー政策の根深い欠陥を白日の下にさらしている。 白昼にもかかわらず、世界最大の民営電力会社である東京電力の本社内は陰鬱な暗さに包まれていた。幹部たちは頭を下げ、自社が起こした事故について消え入るような声で謝罪の言葉を述べた。 66歳の清水正孝社長は3月30日に高血圧のため入院した。清水社長は地震後の3週間、ほとんど姿を見せていなかった。暗がりの中で、東電本社ビルの壁のロゴマークは、突然変異したミッキーマウスのように見える 長引く原発危機、事態収束のメド立たず そんな本社から250キロほど離れた福島第一原子力発電所では、数百人の東電社員や下請け会社の作業員が、3基の損傷した原子炉や様々な場所に置かれた使用済み燃料から放射性物質がさらに漏洩するのを防ごうとしている。 作業員の環境は限界ぎりぎりの状態