SEも企業社会の一員である以上,無数に存在する正論や常識を守ることが求められる。しかし,その正論や常識がすべて現実のSEの世界で通用するかというと,必ずしもそうではない。特にトラブルシューターには,決してうのみにして欲しくない正論がある。今回はそんな有害な“正論”を2つ紹介しよう。 第1は「仕事は部下に任せよ」というものだ。誰しもSEを何年か続けていれば,数名の部下を持ち,管理職としての責務を負うようになるだろう。このとき多くの人は,管理職の心得として,まずこう言われるはずだ。「何もかも自分でやるのではなく,部下に仕事を任せて育てることが君の仕事だ」と。 一見,正論である。しかし,トラブルシューターに関する限り,これは必ずしも正しくない。筆者はむしろ,真実は逆だと考える。「部下任せにするのではなく,仕事は自分の手でやれ」と。 もちろん,何もかも自分でやれと言うつもりはない。部下に任せる仕事