16日午前10時13分、東京電力柏崎刈羽原子力発電所(新潟県)の敷地内で、ドーンという地響きと共に、鉄柱が揺れ、地割れが走った。「スクラム(原子炉自動停止)」。発電所の中央制御室で、当直の職員が叫んだ。 建屋脇の変圧器から火災が発生、立ち上る黒煙が、1時間後にはテレビ画像を通して全国に伝わった。 原子力施設が直下型地震に遭った、初めての災害だった。 4時間後、東京電力本店(東京・千代田区)の玄関脇に会見場が仮設されたが、「黒煙は何か」という記者の質問に、広報スタッフは「調査中」。「油が燃えたのか?」「あり得る」「4人が軽傷というが?」「詳細は分からない」 使用済み燃料プールから放射能を帯びた水があふれ出し、目の前の海に漏出した事実も伝えられたが、どんな装置から、どのように漏出したか、説明には図面資料もなかった。地震の影響で同原発では配管損傷など計63件のトラブルが発生したが、その状況を伝え