昨年から、巌窟王の翻訳の読み比べを愉しんでいる。 最初に読んだ小学館版 ( 西條八十 訳 ) でこの作品に魅了されたが、ところどころ話が飛んでいることに気づき、創元社版 ( 木村庄三郎 訳 ) を読んでみた。 創元社版は、小学館版と違ったところがふくらんでいることがわかり、原作はどうなっているのか気になり出した。 原作はもっと長い話らしい。 1844年から1846年にかけて、フランスの当時の大手新聞のJournal des débats(ジュルナル・デ・デバ、議論日報)に連載され、同じく1844年から1846年にかけて18巻本として出版された、壮大な復讐の物語である。 Wikipediaより 小学館版も創元社版もダイジェスト版だったわけだ。 「それでは」と、日本で翻訳されている中で一番冊数の多いもの---岩波書店版 ( 山内義雄 訳 ) を借りてきた。 岩波版の初版は1956年で、私が借り
