これはもともとwebちくま『悪いキツネをおさえつけることはできない』6月分の原稿として書いたもの。だが、書きあげてから「個人的すぎはしまいか?」という疑念を持つに至り。ちくま担当者と協議のうえ、ここに裏バージョン『悪いケツネをおさえつけることはできない』を新設し、掲載することにしたものである。 先ごろ、刑法の改正が成立した。 まず、再犯防止の観点から懲罰よりも指導・教育に力を入れる「拘禁刑」が新設される。「現行の懲役刑と禁錮刑を一本化し、受刑者の特性に応じて刑務作業と指導を柔軟に組み合わせるもの」という説明だが、お上が物事に対して柔軟に対応できたためしがない最近の日本で、この試みがどこまで成功するか。 都築響一の『刑務所良品』が好きだということ以外にも、刑務所案件にこだわる理由がわたしにはある。かつて編集していた雑誌『ブラック・ミュージック・リヴュー』(のちに『bmr』)は一時期、水戸刑務