ブックマーク / cruel.hatenablog.com (15)

  • 大田俊寛「オウム真理教の精神史」:オウムの「なぜ」を描き出した一冊で、学問としての社会的責務を宗教学者が真摯に考えた立派な本。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    オウム真理教の精神史―ロマン主義・全体主義・原理主義 作者: 大田俊寛出版社/メーカー: 春秋社発売日: 2011/03メディア: 単行購入: 61人 クリック: 1,271回この商品を含むブログ (25件) を見る 先日、オウム関係者の死刑判決で、遺族は「なぜ」がわからず不満顔だったという報道について、ぼくはなぜなどと問うべきではない、どうせ答えなんか出ないんだから、という話を書いた。が、書はその「なぜ」をまがりなりにも分析して一応の答を出したであり、またオウム事件に対してこれまでまともな対応を見せてこなかった宗教学の学者が、そうした現状を真摯に反省して宗教学的な取り組みからオウムを切ってみせた点でもきわめてえらい。 読んでいて、まさに上で出てきたリアリー『神経政治学』(そしてぼくのあとがき!)が引用されていてびっくりしたんだが、オウムがどんな宗教・思想的な系譜につながるのかを明

    大田俊寛「オウム真理教の精神史」:オウムの「なぜ」を描き出した一冊で、学問としての社会的責務を宗教学者が真摯に考えた立派な本。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
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    geddy 2022/07/22
  • ハーバート・A・サイモン『人間活動における理性』アンチョコ - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    はじめに 数日前に、サイモン『人間活動における理性』の海賊訳を公開したら結構みんな喜んでくれて幸甚。 cruel.hatenablog.com が、これを実際に読んでくれた人でも、結構苦労しているらしい。 note.com でてくる用語として、馴染みのないものが結構ある、というのがつまづく原因となっているみたいだ。扱っている範囲が野放図に広くて、経済学の効用理論の話が認知心理学みたいな話に逸れつつ、そこから進化論の話に入って、それが制度論だのメディア論だのに飛び火して、という代物だから仕方ないといえば仕方ない。 が、実際にでている話はそんな面倒なことではない。馴染みのない用語の大半は、無視していいものばかり。ゲーデルとか、アリストテレスとかね。 そういうのはただの、インテリの符牒だから気にしなくていい。「アリストテレス云々」というのは、古来の正統派学問の伝統でずっと、という意味でしかない。

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    geddy 2020/10/07
  • キューバの経済 Part1: 憲法改正と市場経済 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    1. はじめに 最近、キューバでのプロジェクトが始まって、いま二回目の現地調査。キューバというと、みんなゲバラにカストロ、葉巻で、ついでにブエナビスタ・ソシアルクラブで町中が音楽に満ち……というような漠然としたイメージしか持っていない。このぼくもそうだった。その一方で、アメリカの経済制裁の影響や社会主義経済の常として元気がなく、停滞しているという話も聞いていた。 ブエナ★ビスタ★ソシアル★クラブ Film Telecine Version [DVD] ライ・クーダーAmazon で、行ってみたら……うーん。何と言おうか。いや、いいところなんだよ。いろいろおもしろいのは事実。でも、どこがいいのか、と言われると口ごもる。どうだった、と言われると、次から次へと悪い点ばかりが出てくるんだけれど、でもじゃあ、そんなひどいところかと追われると、それほどでもないどころか結構楽しい。うーん。 ということで

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    geddy 2019/02/16
  • 岩田規久男副総裁は黒田の尻を蹴飛ばしてリフレを十倍増させるべきだったと思う。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    稿の主張は、表題通り。岩田規久男は副総裁として、リフレの理論にもっともっと忠実に動き、黒田総裁を蹴飛ばしても締め上げても何をしてもいいので金融緩和をますます激化させてほしかったし、それができなかったのは不甲斐ないということだ。リフレ派の理論を十分に実践できなくて、あと一歩のところだけに情けないよ、ということ。おしまい。 で、その理由を簡単に説明しようか。 岩田規久男が、3月で日銀副総裁を退任した。お疲れ様でした……と言う気持ちはある一方で、正直いって岩田規久男が日銀で何をやっていたのか、ぼくにはよくわからない。日銀の政策は基的に総裁がすべて決めるのであって、副総裁は総裁の方針には反対できないんだよ、と教えてくれた人々もいた。そうなのかもしれない。でも、そうなんですか? 当にそんなお飾りの、総裁のオウム役でしかないんですか? ぼくにはそれが解せないところだし、不満なところでもある。 リ

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    geddy 2018/03/23
  • SexyCyborg様インタビュー(というか独演会)記録 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    2016年12月20日 1400-1630 Holly’s Coffee @ 深圳 新世界購買中心 聞き手:高須正和、山形浩生 はじめに SexyCyborg様を知らぬ者は幸いである。えー、彼女は中国のエレクトロニクス/ホビイスト系maker界隈では知らぬ者のない存在で、チョイエロ的な工作が十八番。おかげでmaker系とは関係ないフォロワーのほうが多かったりするけど、アイデアも設計も3Dプリントもコーディングも全部自分でこなす実力者。ぼくも今回インタビューすることになるまでは、単なる色ものねーちゃんだと思っていたので、前日軽く調べ始めて目を白黒して居住まいを正しました。お見それしました。簡単な紹介は以下の動画参照。 SexyCyborg feature on China Daily 作品とかはこのimgurに上がっているのがいちばん多い。さらに彼女のすごいのは、筋金入りのオープンソース&フ

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    geddy 2017/03/05
    YouTubeでみかけて何の人だろと思ってたら中国のmaker界隈の人と。強烈。
  • エミリー・オスター『妊娠出産の常識 ウソホント』:おおお、エミリー・オスターきたーっっっっ!! - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    お医者さんは教えてくれない 妊娠・出産の常識ウソ・ホント 作者: エミリーオスター,Emily Oster,土方奈美出版社/メーカー: 東洋経済新報社発売日: 2014/10/03メディア: 単行この商品を含むブログ (3件) を見る きましたエミリー・オスター。アメリカ経済学期待の星(だったんだけど、こないだきたIMFの期待の新星30人には入っていなかったので驚き)エミリー・オスターの、日初紹介。それとこれって処女作? その彼女がこんな方面にきましたか、とびっくりする一方で、エミリー・オスターは当にわけわからないカバー範囲の広さというか無節操ぶりというかの人なので、かえって納得したり。アフリカのエイズと性病の関係については以前紹介した通り。また、そこにも書いたけれど、途上国で女の子が1億人も間引きされているのでは、というアマルティア・センまで大騒ぎした謎に対して、B型肝炎が関係して

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    geddy 2014/10/25
  • お金についての浅はかな話 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    要約 ケインズ 雇用と利子とお金の一般理論 作者: 山形浩生,J・M・ケインズ出版社/メーカー: ポット出版発売日: 2011/11/16メディア: 単行購入: 7人 クリック: 272回この商品を含むブログ (11件) を見る ビットコインがらみでお金に関するをいくつか読んでいるんだけど……どのを読んでも、「ではお金とは何か、その質とは何か」というのが必ず出てきて、そしてお金の哲学みたいな話がはじまる。 だけれどいろいろ読んで見て、基的に、お金を哲学的に理解しよう、質的に厳密に理解しようという議論って、全部だめだという感想に到った。特に、真剣にそれをやろうとした当に善意の、学問的良心に満ちた、生真面目な学者先生の議論は、その熱意は痛いほどわかるので大変言いにくいんだけど、まったくダメ。いやむしろ哲学的に、理念的に、精緻に、厳密に掘り下げて原理的に考えようというその生真面目な

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    geddy 2014/08/10
  • ハーンスタイン&マレイ『ベルカーブ:アメリカ生活における知能と階級構造』(1994) - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    The Bell Curve: Intelligence and Class Structure in American Life (A Free Press Paperbacks Book) 作者:Herrnstein, Richard J.,Murray, CharlesFree PressAmazon はじめに Bell Curve というのことを聞いたことがある人は、それなりにいるだろう。でもその人々の90パーセント以上は、このが遺伝決定論ごりごりで、黒人は生得的に知能が低いと述べる差別だと思っている。なぜかというと……そう決めつけるがやたらに多いからだ。書は発行された時点で、きわめて執拗なアンチキャンペーンにさらされてきた。変なベストセラーになったから標的にされ、標的にされたからまたベストセラーになり、というありがちなスパイラルのせいもあるんだけれど。 で、そのアンチキ

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  • 落合『漢字の成り立ち』:明解。白川静や藤堂について客観的に評価がわかって嬉しい。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    漢字の成り立ち: 『説文解字』から最先端の研究まで (筑摩選書) 作者: 落合淳思出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2014/04/14メディア: 単行この商品を含むブログ (12件) を見る わかりやすーい。漢字の歴史を概観し、これまでの字源の研究を批判的に振り返ったあとで、最新の成果をさっくり解説。非常に明解です。 特に、白川静の字源研究についてきちんと評価をしてくれているのは、ぼくにはとてもありがたかった。漢字というと、白川静信者がやたらにいて、『字訓』『字統』とかを聖書のごとくあがめる人がいっぱい沸いてくるんだけれど、ぼくは前からいま一つ信用できなかったのだ。それについては、こんなところに書いたことがある。「都」というのは、日が人の頭で、それを切り落として城壁に埋めたという、かつての呪術的な信仰のあらわれだ、というのはお話としてはおもしろい。でもそれが漢字の質かというと、ち

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    geddy 2014/06/26
  • 柳下『皆殺し映画通信』:一気に読んではいけません。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    皆殺し映画通信 作者: 柳下毅一郎出版社/メーカー: カンゼン発売日: 2014/03/20メディア: 単行(ソフトカバー)この商品を含むブログ (11件) を見る 柳下の、ダメ日映画紹介。紹介されているクズ日映画のどれも、明らかにくだらなそうだけれど、柳下の紹介がうますぎてというべきか、かえってそのクズぶりがおもしろそうに見えてしまうというのが困ったもの。でもだまされて一でもうっかり機内で見たりすると(ガッチャマンとか)もちろんそういう迷いからは覚醒できます。 一、二の紹介は実におもしろくて笑って読んでしまうけれど、だんだん読むうちに、おなかいっぱいな感じで、さらに読み進むと、日映画ってこんなろくでもない代物しかないのか、と暗澹たる気持ちになるので、一気読みはおすすめしない。とはいえ、少しずつ読んでも日映画の傑作が増えるわけではないのは事実ではあるんだが。 ある意味で客

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    geddy 2014/03/30
  • 実測データ収集へのこだわりで、被曝水準の低さが裏付けられる - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    デニス・ノーミル(Dennis Normile) 原文:Insistence on Gathering Real Data Confirms Low Radiation Exposures (Science 10 May 2013: Vol. 340 no. 6133 pp. 678-679) (翻訳 山形浩生) 東京: 2011年3月、福島第 1 原子力発電所での惨事が展開する中で、早野龍五は放射性物質の放出についてツイッター投稿を始めた。この東京大学素粒子物理学者は、次第に地域住民の被曝をめぐる論争にますます深く引きずり込まれるようになっていったのだった。当局がきちんとした事実を提供していないことに失望した早野は、学校給の放射性セシウム検査を始めた。これは福島周辺の環境で最も量の多い放射性核種だ。そして、汚染物をべることで地元住民がどれだけ放射性核種を吸収しているか計測しようとし

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  • ブッシュ『as we may think』 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    コンピュータの古典文献シリーズ。名前は何度も聴いたことがあったが、実物を読んだことはなかったので、見つけたついでに訳してみました。ハイパーテキストの概念を最初期に提案した文章として有名。 ものすごくアナログで古くさい部分(トランジスタもテープレコーダもできてない時代の文だから当然なんだけど)と、いまも通じる思索の部分との混在ぶりがおもしろい。文中の熱電管というのはつまり真空管のことね。ブッシュは弾道計算のプロジェクトで、デジタルコンピュータよりアナログコンピュータを使おうとしたそうで、あんまりデジタルという発想が全面には出ていないけれど、先進的なことを早い時期に考えていたのはよくわかる。あとメメックスって、何かすごい語源でもあるのかと思っていたら、「いい加減につけた」の一言でおしまい。わははは。マイクロフィルムを使うシステムを考えていたのか……バベッジの解析機関を再現する試みみたいに、メメ

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    geddy 2013/03/24
    "コンピュータの古典文献シリーズ"
  • 岩田規久男の業績おさらい会での妄想など。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    デフレの経済学 作者: 岩田規久男出版社/メーカー: 東洋経済新報社発売日: 2001/12メディア: 単行購入: 4人 クリック: 131回この商品を含むブログ (22件) を見る はじめに 今日(というのは2/16)、「岩田規久男先生の学恩をなんとか」というシンポジウムに呼ばれたので、ちょっと行ってきた。ぼくは岩田規久男に直接教わったことはないけれど、もちろん彼の研究業績にはたくさん世話になっているし、また来客リストを見ると日リフレ派オールスターみたいな感じで野次馬根性が出たのもある。もちろんぼく以外の来場者はみんな、経済学の先生や経済政策の重鎮たちで(除く道端カレンだが彼女は別枠)、ぼくなんぞホントに末席を汚すという感じではあったんだけれど。 さて、シンポジウムは、岩田規久男のこれまでの業績をふりかえる、というもの。四人の人が、岩田規久男の活動した主要分野について概略を述べた。そ

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    geddy 2013/02/22
  • テスラ『ニコラ・テスラ:秘密の告白』:ちゃんとしたテスラの著書。信じなさい! - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    ニコラ・テスラ 秘密の告白 世界システム=私の履歴書 フリーエネルギー=真空中の宇宙 作者: ニコラ・テスラ,宮寿代出版社/メーカー: 成甲書房発売日: 2013/01/16メディア: 単行購入: 17人 クリック: 543回この商品を含むブログ (4件) を見る えー、屋でトンデモな方々のに混じって並んでいたので、まずこれは物なのか、というのが気になるところ。テスラの書いたものは三ページだけで、あとはトンデモ陰謀論者の妄想が並んでいたりしないだろうなあ…… ……とこわごわ買ってみたが、まったく問題なし。 としては、以下の二つの全訳(上のやつは自伝メモ "My Inventions" kindle 版のはずなんだがなぜか表示されない): My Inventions (English Edition) 作者: Nikola Tesla出版社/メーカー: the Philovox発

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    geddy 2013/02/12
    メモ
  • 山本作兵衛『筑豊炭坑絵巻』:驚愕の記録。ユネスコもたまには立派。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    筑豊炭坑絵巻 新装改訂版 作者: 山作兵衛出版社/メーカー: 海鳥社発売日: 2011/10/17メディア: 大型購入: 12人 クリック: 905回この商品を含むブログ (4件) を見る 朝日新聞向けの今年の三冊を選ぶので、見落としたはないかと丸善をうろつくうちに発見。一見して驚愕。すごい。明治大正からずっと筑豊炭田で坑夫を勤めてきた著者が、そのすべてを絵と文で描きだしたものすごい記録。実際の採掘方法、そのツールや手法の変遷、日常生活、米騒動など時事的な事件、内輪のリンチの様子など、無言であんぐりしつつページをめくる。はっと我にかえり、即購入。リアル屋も捨てたもんじゃないねえ。 全体が絵を中心にかなり詳しい文を添えた瓦版的な構成。絵の描き込みもすごいし、変な価値判断やイデオロギーの入らない淡々とした記述、そしてあちこちに入る戯れ歌、すべて驚異的。明治の炭坑は、夫婦で入って採掘した

    山本作兵衛『筑豊炭坑絵巻』:驚愕の記録。ユネスコもたまには立派。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
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    geddy 2011/12/26
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