経済への深刻な影響 若い世代でのがん発症の増加は、医療だけではなく、経済にとっても負担になる。病気が回復しても、不妊症、心血管系疾患、二次がんなど、長期的な問題を抱えるリスクが高く、将来的に医療費の負担が増大する恐れがあると研究者たちは言う。 独ハイデルベルク・グローバル・ヘルス研究所の人口・経済学研究ユニット長で北京協和医学院のシミアオ・チェンのチームは、2023年初め、2020年から2050年までの世界のがんによるコストを算出した。その結果、2017年を基準とする不変価格で25兆2000億ドル(約3560兆円)にもなった。これは「世界の国内総生産に年間0.55%で課税した額に相当する」と研究では示された。 「より若い世代ががんを患うと、経済成長に貢献する生産年齢人口を失うことになるため、経済的負担はより重くなります。がんから回復しても、労働の量と質は低下するでしょう」とチェンは語る。