一昨年出版された『皇后宮(きさいのみや)美智子さま 祈りの御歌(みうた)』(竹本忠雄氏著、扶桑社)は実に感銘深い著作であった。今上陛下、靖国の英霊に対する畏敬(いけい)、国民への慈愛、切なる祈りに満ちあふれた皇后陛下のお心がにじみ出る御歌の数々に幾度も涙をぬぐった。 皇后陛下の御歌の調べは清らかで美しく気高く大きくあたたかい。御歌を拝誦(はいしょう)すると心が浄められ高められるような思いがする。 《神まつる昔の手ぶり守らむと旬祭(しゅんさい)に発(た)たす君をかしこむ》 旬祭とは毎月3回、1・11・21日に行われる宮中祭祀(さいし)。皇后陛下はこう述べられている。 「常に祈り続けていらっしゃる陛下のおそばで、私もすべてがあるべき姿にあるよう祈りつつ、自分の分(ぶん)を果たして行きたいと考えています」 《海陸(うみくが)のいづへを知らず姿なきあまたの御霊(みたま)国護るらむ》 《慰霊地は今安