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ブックマーク / note.com/shinshinohara (12)

  • その「食品ロス」は本当に食品ロスなのか?|shinshinohara

    品ロス削減に熱心な学生が演壇に上り、「農家の現場ではまだ十分べられる野菜が大量に捨てられているのを見てショックだった、これを売ってべれば品ロスは減らせる。規格に合った野菜だけを売るのはおかしい」と訴えていた。会場にいる人達もウンウンとうなづいていた。 そんな中、私に話が振られた。「実は規格外の野菜を出荷しようとすると品ロスが増える」という話を始めた。 「曲がったキュウリは箱の中にうまく収納できず、輸送中にガサゴソ動く。するとスーパーに届く頃には傷だらけになる。かたや、真っ直ぐなキュウリは隙間なく詰められるから傷つきにくい」 「トマトが数個ずつパックされてるのは、プラスチックとラップなどの資源無駄遣いに見えるかもしれない。けれどああでもしないと、日の柔らかくて傷つきやすいトマトを店にまで届けることができない。」 「傷ついてもいいじゃないか、と思われるかもしれない。けれど傷ついた野

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  • 石油が採れづらくなっている|shinshinohara

    石油が採れづらくなっている。石油を採るのにかかったエネルギーより、たくさんの石油エネルギーが採れなければ、経済的にもエネルギー的にも意味がない。石油が噴水のように吹き出していた時代は、採掘エネルギーの200倍の石油が採れたという。しかしシェールオイルは10を切っている。 エネルギー的に黒字にするためには、採掘エネルギーの3倍は必要。石油をガソリンや軽油に作り替えるのにもエネルギーが必要だから。この数値にどんどん近づいている。石油大手は、採掘エネルギーがかかりすぎて採算が悪くなり、石油に投資しなくなっている。しかも。 2019年から2020年にうっかり、サウジアラビアは石油を増産してしまい、石油価格が大幅に下落したことがあった。新型コロナで需要が低迷していたことも手伝って、石油価格は大いに低迷。この結果、シェールオイルを採掘する会社は投資を諦めたりするところが増えたらしい。 この時に投資が減

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  • 世界一の農業国アメリカの農業はGDPのわずか1%強?|shinshinohara

    「日の農業はGDPの1%しかない」、だから補助金を出すなど保護を行うのはおかしい、という日政治家がいた。なるほど、だとしたら、世界最強の農業国、アメリカだったら、きっと農業はGDPの割合も大きいだろうし、農家は補助金ももらわずに独力でやっているのだろう、と想像したくなる。 で、調べてみると。アメリカの農業はGDPの1.14%。あれ?日とたいして違わんやん。農家がどのくらい補助金をもらっているかというと、所得のうち26.4%。これに対して、日は15.6%。あれ?アメリカの農家の方が政府から補助金もらってるやん。どういうこと? 実は、先進国はどこも似たり寄ったりで、農業はGDPの1%強にしかならない。小麦を海外に輸出しているフランスも、農業はGDPの1.37%を稼ぐだけ。しかもフランスの農家は、所得のうち90.2%を補助金としてもらっている。アメリカもフランスも世界有数の農業国だが、

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  • 新田開発と天下取り|shinshinohara

    江戸時代は享保時代に三千万人に達した後、百年以上人口が変化していないけど。実は関東で人口が大きく減り、西日で人口増加が起きている。日全体の総数はほとんど変化がないけど、地域別に見ると大きな人口変動がある。薩摩や長州など西日の雄藩が明治維新を起こしたのにも理由がある。 少し時代を遡ると、戦国末期に東海地方での人口増加があった様子。実はそれまで、平野部を耕地にする技術がなかったが、この頃になって平野部を広大な耕地に変える技術が発達した。それまで広大な沼地だった平野部を田野に変え、人口が増加、織田信長はその人口増加を背景に台頭できたらしい。 戦国時代まで荘園による大規模営農が中心だった。しかし信長が広大な平野を開拓し、農地を与えると、自分の親と子どもの家族だけで独立したがる農家が増えた。意欲の低い雇われ従業員(下人)を抱えるよりも、家族だけで耕した方が生産性が高いからだ。これら独立農家は検

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  • 人工知能、深層学習、ビッグデータ解析の限界は?|shinshinohara

    昔、ビッグデータ解析の専門家が来て。水耕栽培でビッグデータ解析を行い、植物の生育を最大化する条件を見つけたい、と言ってきた。私は無駄だからやめておいた方がよい、と言った。私がビッグデータ解析や深層学習のことを知らないと思って、いろいろ説明してくれた。一応ひととおり聞いたうえで。 「やっぱりうまくいかないでしょう」と申し上げた。なぜか、とまた説明を始めようとしたので「まあ、ちょっと聞いてください」。「ビッグデータ解析や深層学習で必要なデータは、植物が大きく育つ、という目的のために集めるんですよね?」と尋ねた。うなづいてくれた。 「たとえば人間の健康診断で、肝臓が悪いかどうかを調べるために、足の大きさを分刻みで計測するビッグデータ解析するとしたら?おそらく、足の大きさのビッグデータでは肝臓が悪いかどうかを判断できないでしょう。足の大きさは、肝臓の健康と連動しているパラメーター(数字)ではないか

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  • 「ジョブ制」考|shinshinohara

    知人によると、日の強みは、職場で困ってる人を見かけたとき「どうしたの?手伝おうか?」の言葉がスッと出ることじゃないか、という。外国人はこうはいかず、「それはオレの仕事じゃない」とつれなく通り過ぎてしまう。困ってる人はいつまで経っても困り続けることになる。 ジョブ制は、移民の多い国で考えられた工夫だと思う。民族も文化も全然違う、場合によってはその国に来たばかりで右も左もわからない人間に、「お前の仕事はこれ」と明確に領分を決め、それをやりきれるようなら仕事を続けられ、出来ないようなら解雇、というやり方。 仕事の内容が明確なジョブ制は、逆に言えば融通がきかない。契約前に想定していない仕事が発生すると、「それはオレの仕事じゃない」とみんな拒否する。外国企業で人の上に立つ人間は給料高い代わりに夜中まで働く過重労働なのは、ジョブ制で割り振れないのを全部片さなきゃいけないからかも。 日は「チーム」で

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  • 期待や願望は現場・現実を見えなくする|shinshinohara

    阪神淡路大震災の時、私が出入りするようになった東灘区の避難所では、当初、初期のボランティアは3人しかいなかった。1500人の被災者が寝泊まりする場所で。 他方、テレビでは連日ステーキとかが振る舞われ、なんなら焚き火を囲んでギターを弾いてるボランティアたちの姿が映っていた。 「ボランティア?どこにおんねんそんなの!」「ステーキ?ってみたいわそんなもん!」1日に配給されていた弁当は、おにぎり二個、小さな牛乳パック一個、菓子パン一個。以上。それでも配給されるだけマシになった方。ステーキや焼きそば振る舞うなんて、そんな夢みたいな話はここにはなかった。 当時、NHKは深夜に被災地での行政対応がテロップで流れていた。それによると、神戸市で配られているお弁当は確か740円と表示されていた。このため被災地を知らない人は「結構いい弁当べてるなあ」という感想をもつ人が多かった。けれど実態は、おにぎり二個、

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  • 化学農薬は今後も安価に手に入るのか|shinshinohara

    先日、日は高温多湿で病害虫が多いから化学農薬を手放せず、欧米中国で有機栽培が盛んなのは乾燥冷涼な気候で病害虫が少ないから、という事情を書いた。https://note.com/shinshinohara/n/n65d774b2bd3d そんな病害虫についてシビアな日でも、化学農薬の使用を控える技術を開発すべき時期に来たように思う。石油など化石燃料が高騰してるから。 化学農薬が安価に買えるのは、石油化学というシステムが機能してるから。石油化学では、原油を加熱してガソリンや軽油、重油などを分離し、様々な化学製品を作る原料としてナフサを製造したりしている。その量は膨大で、化学農薬を製造する際の原料も安価に手に入れることができる。 しかし今後、石油の入手が困難になると、化学農薬を安価に合成できるシステムが維持できるのか。天然ガスを改変してナフサを製造する技術もあるらしいけど、石油から作るほど安

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  • なぜ日本は化学農薬を手放せないのか|shinshinohara

    私は有機水耕を開発するくらいなので、有機農業が日でも広まってほしいと思う反面、化学農薬を使う慣行農業にもやむを得ない事情があると考えている。理由は、「日はあまりに高温多湿だから」。 ヨーロッパは有機農業の先進国。アメリカも意外に有機農業が盛ん。そして実は、中国は今や有機農業大国。なのに日は有機農業はわずか0.5%(耕地面積)。有機農業が一向に進まず、化学肥料・化学農薬を使った慣行農業が大部分を占めている。それは、欧米や中国と違って高温多湿だから。 欧米や中国は大陸性の気候。ざっくり言うと、湿度が低く気温も低め。すると、虫がそもそも少ない。農作物をダメにする病原菌も少ない。湿度が低く気温が低い条件は、有機農業が容易。だって、虫や病気の発生が少ないから。 日はそうはいかない。代表的なのは梅雨の時期。雨がずーっと降る。しかもそこそこ高温。高温多湿は虫とカビにとってパラダイス。虫がいくらで

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  • 音読み熟語はお経のようなもの|shinshinohara

    前にも書いたけど、「勉強できない子」はまず、音読み熟語がわからない、というところでつまづいていることが多い。何を隠そう、私自身がそうだった。そして塾で指導してきた感覚だと、公立中学で偏差値55以下は音読み熟語が苦手。偏差値50以下だと、それが出てきたら思考停止。 私自身、中学一年の最初の方でつまづいた。 「絶対値」 何それ?絶対って、絶対ダメ!とか絶対イヤ!とかに使うよね?何が何でも、っていう意味だと思うけど、「値(ち)」って何?値段のこと?わけわからん! 「整数」「素数」?何それ?整理整頓された数?素っ裸の数?何を言ってるのかさっぱりわからなかった。そもそも「かず」って読めばいいのに、「正の数」も「せいのすう」って読むし。それに、正しい数って何?え?負けた数って何のこと?なんで「ふのすう」って読むの? 小学生の間、ほとんどの子どもは訓読みの世界に生きている。小学校の先生も、子どもが音読み

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  • 「魂飛ばし」が能動性を取り戻すまで|shinshinohara

    その子は高校一年生だった。母親が「大学に行かせたい」といって連れてきたのだけど、学年最下位クラス。高校は偏差値最底辺のところで、どうやら中学でも学年最下位クラスだったらしい。大人しい性格なので内申点が悪くなく、なんとか高校に進学できたようだった。 どこでつまづいてるのか、過去にさかのぼっていった。分数は壊滅。1/2+1/3=2/5のように、分母と分子をそれぞれ足したりする。さらにさかのぼると、割り算がすでに怪しい。九九はできる。 よし、では割り算から足固めし、分数を完全にマスターさせよう。 しかし学習は初日からつまづいた。 公文式的なドリルを渡し、「このページをやってごらん」と言うと、「分かりました」とよい返事。さて、仕上がるまで他の子の指導を、と。 そろそろかな、と思って声をかけると、一問も進んでない。目はうつろで、魂が抜けたよう。「おい、どうした?分からないのか?」と声をかけるとハッと

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  • 読解力より、音読み単語|shinshinohara

    今の子どもは人工知能より読解力がない、と警鐘鳴らされてるけど、もう少し丁寧に考える必要がある。 私が塾を主宰していた時でも、公立中学で偏差値55以下だと「音読み」の熟語に反応できていなかった。意識、思想、速度、制御、提示・・・音読み熟語を聞いてもピンとこず、ポカンとしてしまう。 そうした子どものご家庭は、NHKを見ない、見たことがないというケースが非常に多かった。見るのは民放のバラエティー番組ばかり。「NHKなんか見る人、いるんですかね?見たい番組一つもないのに、なんで受信料払わなきゃいけないのか」と文句を言ってる親御さんが多かった。 家庭での会話は、単語が多い。文章になっておらず、せいぜい単語は2つ。 そして、音読み単語はほぼ使わない。家庭じゃなく、ウチ、いえ。会話じゃなく、おしゃべり。単語じゃなく、ことば。 このツイートの前半に使っている音読み単語でも、私が指導していた子どもの多くがピ

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