今月14日、臨床心理士の山口威(たけし)さん(40)は東京地裁の傍聴席にいた。視線の先にいたのは、強盗致傷罪に問われた男。昨年9月から、東京拘置所(東京都葛飾区)で面接を重ねてきた相手だ。 なぜ犯罪を起こしてしまうのか。4年前、裁判員として強姦致傷(現在の強制性交致傷)事件を担当して感じた疑問。その答えを探そうと、翌年から刑事被告人をカウンセリングする「加害者臨床」の世界へ足を踏み入れた。 「二度と刑務所から出てこないで」。平成27年6月、東京地裁の法廷で、山口さんらを前に被害女性は厳しい口調で訴えた。被告の男はかつて性犯罪で懲役10年の判決を受けて服役し、仮釈放から2年足らずで女性2人を襲っていた。 法廷で見た男は物静かで弱々しくさえ見えた。児童養護施設で育ったと知り、「生きづらさを抱えていたのでは」と感じた。しかし、被害女性の悲痛な訴えに心を揺さぶられ、男への強い非難の思いも抱いた。
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