アジアで働いてきた25年間、私の頭の中にはつねに、ある旅行ガイドの忠告があった。キックボクシング(ムエタイ)が国技であるタイでは、決して喧嘩をしないこと。喧嘩に飛び入りする地元の人の頭にあるのは、誰が正しいかではなく、誰がタイ人なのかということだ。この忠告は、中国本土でのビジネスを考える欧米人によく当てはまると思う。 3年前に意気揚々と上海に乗り込んだ米配車アプリ大手ウーバーテクノロジーズが経験してきたことは、欧米人が本当の勝率を理解せず喧嘩を売った好例だ。ウーバーのトラビス・カラニック最高経営責任者(CEO)は、成功する見込みなどなかった市場に切り込むため、投資家から調達した20億ドルもの資金を使い切った。これは、他人の金を使って勝算が100分の1の賭けに手を出すという、ベンチャー投資家の病的な部分を露呈した。 中国のウーバーのドライバーは、相場の3倍の給与を受け取っていた。注文にはでっ
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