帝国主義的だとか親ファシスト的だとして作家や詩人、表現者が批判にさらされると、「作品それ自体は素晴しい」という弁護がなされる。私の頭に浮かぶのは何年か前になくなったレニ=リーフェンシュタールだ。ベルリンオリンピックの記録映画『民族の祭典』『美の祭典』、ナチス党大会記録映画『意志の勝利』などを撮った映画監督で、それがために戦後その存在を業界から抹殺された。でも市川崑の『東京オリンピック』なんかを見ると技法とかはこの世界に生き残っている。高校時代の担任は映画が好きで、『東京オリンピック』に感動して涙を流した話をして、「ファシズムって怖いんだよー」と言っていたが、最近ようやくその意味がわかってきた。大学に入って所属していない研究室のお茶会でリーフェンシュタールの話をしたら、「当たり前でしょう。美しいものは美しいのよ」と先生に言われた。「それが美しいというのは、それ以外の意味なんてないの」。だから