それぞれの意見に説得力がありますが、個人的に最も心に響いたのは、最後の「50代女性・専業主婦」の「当たり前のことをできているのが幸せ」という意見です。これは、学問的には、経済学の祖、アダム・スミスが唱えた幸福論です。 スミスといえば、弱肉強食の自由競争の信奉者だと思いがちですが、そうではありません。当代随一の道徳哲学者だったスミスは、主著『道徳感情論』の第6版に次のような逸話を追記し、幸福論を展開しています(堂目卓生著『アダム・スミス』から引用)。 エピルスの王の寵臣が王に言ったことは、人間生活の普通の境遇にあるすべての人びとにあてはまるだろう。王は、その寵臣に対して、自分が行おうと企てていたすべての征服を順序だてて話した。王が最後の征服計画について話し終えたとき、寵臣は言った。「ところで、そのあと陛下は何をなさいますか」。王は言った。「それから私がしたいと思うのは、私の友人たちとともに楽
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