今、どこの誰なのか分からないままになっている「身元不明遺体」が増え続けています。その数、全国で2万以上。多くは自殺で発見された当時、所持品がなく、あえて自分の身元をわからないようにして亡くなっているのです。今回、私たちは遺体の身元の特定を行う警視庁の部署に初めて取材をすることができました。「身元不明遺体」から見えてきたものは、現代社会の課題ともいえる一面でした。 (社会部記者 大西由夏 おはよう日本ディレクター 北條泰成) 私たちは去年からことしにかけて警視庁にある「身元不明相談室」に通い続けました。この相談室は全国の警察の中でも唯一の組織で専従の警察官が遺体の身元の特定にあたっています。 相談室に寄せられる遺体の情報は1年間に1000以上にのぼり、主に川や海、山の中などで見つかった遺体が多くそのほとんどは自殺です。財布や携帯電話などを持っていないケースが大半で、身元が判明するのはごくわず