ひとことで言うと、何だかヘンな小説だ。 まあ、よくも悪くも大道珠貴。 フワフワした感じだけど、どっかなまぐさい主人公に、 つかみどころのないストーリー。 最初から最後まで、不思議な感覚に包まれたまま、何となく進んでいく。 もちろん、僕がそう感じるだけで、読む人が読めば、 〝ここに主人公の感情の変化が!〟とか、そういうのあるのかもしれないけど… ただ、僕がこの作家に感じる魅力は、やっぱり 〝脱力してるんだか、してないんだか、よくわからない〟キャラクター描写だ。 主人公の母親からして、ヘンだ。 若い頃といっても結婚後、駆け落ちをしていたことがあるという。 相手は父も知り合いだった、という19歳。 ある日、帰ってきた母があっけらかんと言い放つ。 「まだまだケツが青かったわ」。 だからといって、この経験を通じて、母の中で何かが変わるわけではない。 さまざまな人と恋愛を重ねていく。 これに対する父の