エロ本のデザインを研究する気になった直接のきっかけは『GON!』(ミリオン出版)1998年12月号に掲載された藤木TDC氏の不定期連載「ダメエロ本列伝」だった。昔あった一癖あるエロ本を紹介するコラムなのだが、毎号載るわけではなく、しかも掲載ページが前後あっちこっちに飛ぶせいで、よほど熱心に読んでいた読者でない限り、それが載っていることにも、ましてや連載であることにも気づかなかっただろう。 この回で紹介されたのは1989年の『SMスピリッツ』(ミリオン出版)。キャッチコピーは「アートなデザインに、極小の文字!!時代の先を行きすぎたエロ本は...」。そこに掲載されている同誌の写真やエディトリアル・デザインを見て、もうとにかく一発で参ってしまった。蛍光ライトに照らされた幻想的なヌード写真、『AKIRA』とドラッグカルチャーを絡めた記事、サイバーなイラスト、図と一体化した文字組。これは本当にエロ本