ほんの数カ月前、新型コロナウイルス感染症(COVID19)を事実上ゼロに抑え込んだオーストラリアは世界の羨望(せんぼう)の的だった。しかしデルタ変異株が運命を反転させた。 ほぼ半年間、比較的普通の日常生活が送れていたシドニーは現在、厳格なロックダウン(都市封鎖)の3週目に入っている。封鎖措置は14日に、少なくとも今月30日まで延長された。普段はにぎやかな中心業務地区(CBD)にはほとんど人影もなく、学校は閉鎖され、約600万人の市民は他の世帯との交流を禁じられている。 米国と英国は経済活動を再開させたが、オーストラリアは1日の感染者数がニューヨークの3分の1、ロンドンの3%未満であるにもかかわらず、先へ進むことができないようだ。航空会社の乗務員を乗せたワクチン未接種の運転手が先月感染して以来、シドニーでは約900件の感染が報告されている。ニューサウスウェールズ州では15日に65件の新規感染