なぜ日本兵1万人が消えたままなのか? 滑走路下にいるのか、それとも…… 民間人の上陸が原則禁止された硫黄島に4度上陸し、日米の機密文書も徹底調査した北海道新聞記者・酒井聡平氏によるノンフィクション『硫黄島上陸 友軍ハ地下ニ在リ』が発売たちまち5刷が決定。イッキ読みした人、「熱意に胸打たれた」「泣いた」という読者の声も多く寄せられている。 硫黄島に渡り、土を掘り、汗をかいた新聞記者が執念でたどりついた「真実」とは――。 世界でも唯一無二の全島疎開が続く島 米軍の核の時代を経て、現在も続く硫黄島の自衛隊支配──。この現状を問題視し、精力的に発信し続ける研究者の一人に、明治学院大学の石原俊教授がいる。小笠原諸島の近現代史研究の第一人者だ。 僕の硫黄島取材は、石原氏が著書『硫黄島 国策に翻弄された130年』(中公新書)を出版した2019年以前と以後では大きく変わる。以前は遺骨問題ばかりに向けてきた