本書『中世史講義』(ちくま新書)は一年まえに出た『古代史講義』(同)の続編といえる。日本中世史について、15人の専門の学者が分野ごとに研究の最新成果と動向を解説している。歴史を学ぶ学生はもちろん、一般読者にも格好の入門書となっている。 『応仁の乱』がベストセラー 本書は学者1人が1テーマずつ15のテーマについて分担して執筆している。編者の高橋典幸・東京大学大学院人文社会系研究科准教授による「中世史総論」からスタート。「院政期の政治と社会」「日宋・日元貿易の展開」「武家政権の展開」「鎌倉仏教と蒙古襲来」「荘園村落と武士」「朝廷の政治と文化」「南北朝動乱期の社会」「室町文化と宗教」「中世経済を俯瞰する」「室町幕府と明・朝鮮」「室町幕府と天皇・上皇」「戦国の動乱と一揆」「戦国大名の徳政」「中世から近世へ」と続いている。 日本の中世については、網野史学などの影響もあって近年、関心が高まってきた。ま