一昔前のエジプト本には「エジプトの王権は王女から王女に引き継がれる女系のもの」ってのがさも当たり前のように書かれてて、今でもそうだと思ってる人は多いのだが、この説は20世紀の後半には完全否定されていて今ではもう信じられていない。定説が知らないうちに書き換わるってことは良くあるのだが、女系継承説の場合は、書き換わったあとも定期的に復活しようとする(何故か専門家ですら無意識に復活させようとする)というところが厄介だ。 というわけで、ちょいと書いておこうかなと思う。 まず「女系継承説」っていうのが何かというと、古代エジプトの王権は王の娘によって引き継がれ、次の王になるには、その娘と結婚しなければならなかったのだという説のことである。つまり真実の王はファラオではなく、先王の娘であった王妃のほうだという説だ。19世紀以降、古代エジプトの王家の家系図は、長らくこの説に因って説明されてきた。近親相姦は「