インタビューの合間も大きな口を開けて笑いながら「お笑いは健康の源」と語る東洋興業の松倉久幸会長=東京都台東区で、幾島健太郎撮影 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う政府の「緊急事態宣言」が全国で解除され、1週間がたった6月上旬。約2カ月ぶりに営業を再開した東京・浅草の落語定席「浅草演芸ホール」を訪ねると、2階席から「アッハッハー」と、張りのある笑い声が聞こえてきた。声の主は、ホールを運営する東洋興業会長、松倉久幸さん(84)。「人間ってのは、つらい時こそ笑いが必要ですよ」。「お笑いの殿堂」を長年率いてきた“生き証人”は穏やかな表情で高座を見つめ、何度もうなずいた。 1964年の開業以来、年中無休で笑いを届けてきた同ホールが長期の「臨時休館」に入ったのは、4月6日。東京都の休業要請が緩和された6月1日には営業を再開したが、街への人出はすぐに戻ってこない。感染予防対策として座席の間隔を空け、再開