今年のピュリツァー賞受賞者はその映像を絶賛した。単身潜入した青年がウイグル強制収容所に接近、撮影に成功。砂漠の果てに巨大な狂気が浮かび上がる。 「その勇敢な若者は秘密の使命を帯びていた」 英メール紙の記事は、印象的な書き出しで始まる。10月上旬、東トルキスタンの収容施設を極秘撮影した映像を動画投稿サイトにアップされ、今月になってごく少数の欧米メディアが取り上げた。 「僕は’19年に新疆を自転車旅行したのですが、今回の目的は全く違いました」 GuanGuanと名乗る男性は、そう語る。目的は東トルキスタン各地に点在する知られざる監獄を見付け出し、映像に収めることだ。気儘な独り旅ではなく、生命の危険を伴う潜入取材である。 ▽モリ・カザフ自治県の収容所(英メール動画より) 撮影範囲は首都ウルムチ近郊からモリ・カザフ自治県、クムル市、中部のカラサール。彼は車で多数の検問を抜け、特別な地図を頼りに秘密