アーキアのべん毛を動かす運動モーターの仕組みに迫る! 木下 佳昭、西坂 崇之 2016年11月号掲載 生命現象を支えるタンパク質のなかには、モーターのように回転する「分子モーター」がある。これまで、バクテリアのべん毛や真核生物の細胞内輸送に重要なキネシンなどで研究が進んできたが、アーキア(古細菌)が持つ分子モーターは未解明のままだった。今回、学習院大学大学院自然科学研究科生命科学専攻西坂研究室の大学院生、木下佳昭さんは、死海で見つかったアーキアを使ってべん毛が動くようすを詳細に観察し、分子モーターの仕組みの一端を解明した。 ―― なぜ分子モーター領域に入られたのですか? 木下氏: 学部時代は物理学科に所属していましたが、生物にもなんとなく興味を持っていました。そこで、4年生のときに研究室に進むに当たって西坂崇之教授の生物物理研究室に入り、分子モーター研究に出会うことになったのです。初めは、