ミュンヘン市内の裁判所で有罪判決を受けたナチス強制収容所の元看守、ジョン・デミャニューク被告=2011年5月12日、AP 【ベルリン篠田航一】ドイツのミュンヘン地裁は12日、第二次大戦中にナチスの強制収容所で看守を務め、ユダヤ人虐殺に関与したとして、殺人ほう助の罪に問われたジョン・デミャニューク被告(91)に禁錮5年(求刑・禁錮6年)の判決を言い渡した。判決は「少なくとも2万8060人の虐殺に加担した」と認定したが、既に未決拘束期間が約2年に及び、高齢で逃亡の恐れもないことから即日釈放された。 ドイツはナチスの戦犯を訴追するため、79年に謀殺(計画的殺人)に関する時効を廃止し、戦犯の追跡を行ってきた。だが関係者も高齢化しており、独メディアは「最後の戦犯裁判の一つ」と報じている。 デミャニューク被告はウクライナ出身。43年、ナチス占領下のポーランドのゾビブル強制収容所で看守を務めたとされる。