試験でのカンニングが発覚後、自殺した高校2年の男子生徒のノート=大阪府で2024年3月4日、滝川大貴撮影 進学校で知られる私立清風高校(大阪市天王寺区)の男子生徒(当時17歳)が試験でのカンニング後に自殺したのは、教師らの不適切な指導が原因だとして、両親が近く、学校側に計約1億円の損害賠償を求める訴えを大阪地裁に起こす。両親側は、教師らがカンニングをする人間を「ひきょう者」と表現していたことが生徒を心理的に追い詰めたと訴えている。 一方、学校側が設置した第三者委員会は、指導と自殺との因果関係を否定している。 訴状によると、高2の生徒は2021年12月、倫理・政経の期末試験でカンニングをしているのが監督官に見つかった。別室で複数の教師に叱責され、全科目0点▽自宅謹慎8日間▽写経80枚▽反省文の作成――といった処分を受けた。生徒は2日後、自宅近くで倒れているのが見つかり、死亡が確認された。遺書
「自ら穴を掘り、その穴はどんどん大きくなっていった。そこから抜け出すためにはもっと大きな額を賭けなければならず、負け続けた。雪だるま式に」――。大谷翔平選手(29)が所属する米大リーグ・ドジャースから解雇された通訳の水原一平氏(39)は、米スポーツ専門局ESPNの取材に、スポーツ賭博にのめり込んでいった実態を告白していた。 米国40州で合法化 米国では従来、スポーツ賭博は西部ネバダ州のラスベガスでしか認められていなかった。しかし、連邦最高裁が2018年に合法性の解釈を各州に委ねると判断。ドジャースが本拠地を置く西部カリフォルニア州では違法だが、米メディアによると、現在では全米50州のうち40州近くで合法化されている。米ゴールドマン・サックスの報告によると、最高裁の判断を受けて米国のスポーツ賭博の市場規模は100億ドル(約1兆5000億円)に急成長。今後450億ドル規模に拡大すると予測されて
大相撲名古屋場所に向けて浴衣姿で名古屋入りする力士たち=名古屋市のJR名古屋駅で2023年6月25日午後3時17分(代表撮影) 大相撲の地方場所の開催を告げる風物詩「相撲列車」が、その歴史を終えた。力士や部屋の関係者ら数百人が同じ列車で移動し、びん付け油の香りを漂わせながら新幹線で移動する光景はファンに親しまれてきたが、春場所(3月10日初日・エディオンアリーナ大阪)では手配されなかった。今後は相撲部屋ごとに移動することになる。 年3回ある地方場所では、それぞれ初日の2週間前の日曜日に力士らが移動してきた。かつては団体臨時列車を貸し切りにしていたが、昭和の終わりごろからは新幹線で移動してきた。 一方、新型コロナウイルス感染拡大により、2020年2月末に相撲列車で力士ら関係者が大阪入りした後、春場所の無観客開催が決まった。その後は東京での開催が続き、21年7月の名古屋場所から地方開催が再開さ
飛来数全国一のマガモのブランド名「常陸国天然まがも」の発表会。小さな字で「ひたちのくに」と読み仮名が振られている=水戸市笠原町の県庁で2023年11月30日、木許はるみ撮影 「常陸牛」「常陸乃国いせ海老」……。茨城県が「常陸○○」の名で高級食材を売り出す中、ブランド化に思わぬ壁があった。読み方だ。全国の20~30代の半数程度が「常陸」を読めないという調査結果が明らかになった。 「常陸」は茨城の旧国名。由来は諸説あり、713年編さんの「常陸国風土記」では、一つの道が続く「直通(ひたみち)」と、ヤマトタケルが巡行した際に袖を浸したため「ひたす」から「ひたち」に転じた二つの由来が書かれている。 では、なぜ「常陸」の表記なのか。茨城の歴史に詳しいかすみがうら市歴史博物館の千葉隆司館長は「理由はわかっていないんですよね」と明かし、「当たり前のことは資料が残りにくく、地名の字も資料が少なくて研究が難し
桐生市が生活保護受給者らから預かったとされる認め印の一部=群馬県桐生市で2023年12月18日午後4時44分、大澤孝二撮影(画像の一部を加工しています) 群馬県桐生市は18日、生活保護受給者などの認め印を1944本預かり、書類に押印していたと発表した。認め印は生活保護を担当する福祉課に保管しており、このうち資料が残っている2018年度以降を調査したところ、86世帯の通知書などについて本人の了解を得ずに課員が押印していたことが判明したという。市は「遠方で資料を取りに来られない場合などに使用した」と説明している。 同市によると、認め印を預かり始めた時期は不明で、受給者からの預かり証なども存在しなかった。同姓の印を使い回していた可能性があるほか、既に死亡している人のものも含まれているとみられ、本人に返却できない状態という。
「友」を翻訳した富山大学准教授の和田とも美さん。本棚には北朝鮮の文学作品などが約200冊並んでいる=富山市の富山大学で2023年10月27日午後3時46分、萱原健一撮影 北朝鮮で生きる人々の暮らしを描いた文学作品「友」の邦訳が今春、出版された。時代は、国民生活をなおざりにしてミサイル・核開発に突き進む前の1980年代。訳者の富山大学准教授、和田とも美さん(53)に評価を聞くと、「つまらない」とキッパリと答えた。ではなぜ翻訳を引き受けたのか。 筆者は49年生まれの白南龍(ペクナムリョン)で、訳書は今年3月に小学館から出版された。南北分断後に生まれた北朝鮮在住の作家の文学作品が日本の出版社から出されるのは極めて異例という。 圧政下のソ連時代、同時代人を勇気づけた抵抗の地下文学があったが、北朝鮮にはないのだろうか。そんな疑問を私は長らく持っていた。「友」は地下文学ではないが、80年代の地方都市に
自見英子万博担当相は8日の衆院内閣委員会で、2025年大阪・関西万博で350億円かけて建設される木造建築物「大屋根(リング)」について、「夏の暑い時期に開催される。日よけの熱中症対策として大きな役割を果たす」と述べ、必要性を強調した。 リングは1周約2キロで、23年6月に建設が始まった。完成すれば世界最大級の木造建築物となるが、巨額の費用を要することに批判も出ている。 自見氏はリングについて「万博の理念を示す大きなシンボルだ」と説明した上で、リングの下は来場者の日よけ、雨よけのスペースになると指摘。「万博を担当する大臣として1日20万人をお迎えする責任がある。当然必要だし、国民にとって必要だ」と答弁した。 立憲民主党の中谷一馬氏は「国民は円安・物価高に苦しんでいる。その中で350億円のリングは、みんな納得できない」と批判した。【池田直】
猫の大好物と言えばマタタビ。でもマタタビに酔ったようになる猫の姿に「依存性はないの?」と心配する人もいるのではないだろうか。猫がマタタビに特異な反応を示す生物学的意義を研究してきた岩手大などのグループがこの疑問に答え、オンライン科学誌に論文掲載した。その成果とは……。 岩手大農学部の宮崎雅雄教授(生化学)や大学院生の上野山怜子さん(26)らは、研究室で17匹の猫を飼いながら、マタタビとの関わりなどについて研究している。 グループはこれまでに、猫がマタタビに反応すると、幸せを感じた時に脳内で働く物質の血中濃度が上がること▽猫の体にこすりつけたマタタビの成分が蚊よけの役割を果たしていること――などを次々と突き止め、注目を集めた。
建設中の2025年大阪・関西万博会場=大阪市此花区で2023年7月13日午後6時5分、本社ヘリから中川祐一撮影 2025年大阪・関西万博の会場(大阪市此花区)の建設費が現行の1850億円から数百億円規模で上振れし、2000億円超になる見通しになった。政府は国の追加負担分の一部を23年度補正予算案に盛り込み、10月にも開く臨時国会に提出する方向で調整を進める。人件費や建設資材の高騰が主な要因で、万博の会場建設費の増額は2度目。国家的プロジェクトで再び国民負担が膨れることになる。 西村康稔経済産業相は15日の閣議後の記者会見で、「万博関連予算の確保を進めることにした」と述べ、資材費高騰による会場建設費の上振れ分などへの対応を急ぐ方針を示した。
囲碁の女流棋聖戦三番勝負第3局で上野愛咲美女流棋聖に勝利して史上最年少でタイトルを獲得、記者会見で質問に答える仲邑菫三段=東京都千代田区で2023年2月6日午後4時25分、内藤絵美撮影 囲碁の中学生棋士、仲邑菫(なかむら・すみれ)女流棋聖(14)が、韓国棋院に「客員棋士」として登録を申請したことが11日、関係者の話で分かった。韓国棋院に承認された場合、仲邑女流棋聖は来春にも韓国棋院に移籍してプロ活動をする方針。囲碁の強豪国の韓国でさらなるレベルアップを図るのが目的とみられ、日本棋院所属の日本人棋士が海外の棋院に移籍するのは初めてとなる。 関係者によると、仲邑女流棋聖は7月、韓国への移籍を日本棋院に申し出て、日本棋院側もその意向を受け入れたという。韓国棋院は今月13日に棋士総会を開催し、仲邑女流棋聖の登録の可否を協議。その後、今年末か年明けの韓国棋院運営委員会で正式承認する予定だ。
「戦時下に何をなし、何をなさなかったのかを、若い僧侶たちにも知ってほしい」と語る廣瀬卓爾さん=大津市で2023年7月31日午後6時4分、花澤茂人撮影 浄土宗の僧侶らで作る「浄土宗平和協会」が、戦争に協力した歴史的事実を検証した結果をまとめた。命の大切さを説くはずの僧侶たちが、なぜ戦争に加担してしまったのか。 平和協会が7月に公表した「浄土宗『戦時資料』に関する報告書」は169ページにわたる。経典の解釈によって戦争を宗教的に意味付けた▽宗派として戦闘機を献納した▽天皇と、浄土宗の本尊である阿弥陀(あみだ)仏を同一化する教説が大きな影響を与えた――など、驚くような内容も含まれる。 中でも、天皇と阿弥陀仏の同一化については「浄土宗における戦時教学の最大の特徴」と指摘。浄土宗務所が1938年に発行した資料に記された「私達に取って 陛下は『阿弥陀』でまします」という文言を象徴的に紹介し、「『天皇の命
「アート作品活用・保全検討チーム」初会合の冒頭で発言する吉村洋文知事(右奥)=大阪市住之江区で2023年8月18日、山田夢留撮影 大阪府所蔵の美術作品105点が咲洲(さきしま)庁舎(大阪市住之江区)の地下駐車場に置かれている問題で、府は18日、専門家らで作る「アート作品活用・保全検討チーム」の初会合を同庁舎内で開いた。吉村洋文知事は会議の冒頭で「今月中に地下駐車場の作品の移転に着手する」と表明。移転先は府有施設を検討しているという。チームは今後、105点を含む府コレクションの活用や保全について協議し、今秋に中間報告、来年2月ごろに最終報告をとりまとめる。 チームは山梨俊夫・前国立国際美術館館長が座長を務め、鷲田めるろ・十和田市現代美術館館長、木ノ下智恵子・大阪大21世紀懐徳堂准教授と、上山信一・府特別顧問が出席。府側からコレクションの収集経緯や現在の保管・展示状況などについて説明を受けた。
アンダーシャツを着用して応援する土浦日大(茨城)のチアリーディング部員=阪神甲子園球場で2023年8月6日午後0時2分、磯貝映奈撮影 アルプススタンドで応援するチアリーダーが盗撮対策と猛暑対策の両立で苦労している。阪神甲子園球場で開催中の全国高校野球選手権大会。学校によっては、チアリーダーが長袖を着て肌の露出を抑えるなど、近年問題化している盗撮を防ごうとしている。ただ、甲子園は連日の猛暑で、グラウンドでは足をつる選手が相次ぐ。夏特有の課題に、各出場校が対応に追われている。
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