米国の同盟国と貿易相手国は、ドナルド・トランプ氏が大統領に就任するのを固唾を飲んで見守っている。とりわけ不安に慄いているのがメキシコだ。トランプ氏は選挙戦が始まるや否や、メキシコ人を「レイプ犯罪者」「米国の雇用を奪っている」と非難した。 そしてメキシコに投資する自動車メーカーに対し、輸入関税をかけると繰り返し脅した。結局、フォードはメキシコに工場を新設する計画を取り止めた。同社はこの計画に16億ドル(約1800億円)を投じる予定だった。 トランプ氏は1月11日に実施した記者会見で、「国境の壁」を建設する費用をメキシコに支払わせると改めて公約した。「メキシコは米国を食い物にしている」と断じもした。 トランプ次期大統領が強硬な発言をそのまま行動に移すなら、結果は重大だ。メキシコ経済は北米自由貿易協定(NAFTA)の下で、米国およびカナダと極めて密接な関係を有している。 米国との2カ国間貿易額は