2011年度、JRAは馬事文化賞に 「消えた天才騎手 最年少ダービージョッキー・前田長吉の奇跡」 を記した島田明宏氏を選んだ。前田長吉は太平洋戦争中の1942年にデビューし、翌年、牝馬クリフジを操って日本ダービーを制した伝説の騎手だ。当時、戦火が激しさを増すなか競馬は開催中止となり、前田も1944年秋に召集されて満州へと出征。二度と故郷の地を踏むことなく、23歳の若さで生涯を終えた。ジョッキーとして活躍した期間は正味2年しかない。残された資料は少なく、何処でどう最期を迎えたのかさえ正確には分からずにいた。前田に関心を持って消息を訪ね歩いた大川慶次郎も、遺族にすら行き着かなかったという。ところが2006年、厚生労働省による戦没者遺骨の収集事業で、前田がシベリアに抑留されて亡くなっていたことが判明する。遺骨は八戸の生家に暮らす親族のもとへ返還されることになった。本書は前田の遺族やわずかに現存す
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