昔使われていた風邪薬の成分に、ピリベンザミンという化合物があります。ピリベンザミンは、日本の風邪薬の代名詞「ベンザ」の名前の由来にもなっている日本人にも関わりが深い化合物です(現在のベンザシリーズには残念ながらピリベンザミンは含まれていませんが)。 このピリベンザミンから生まれた抗うつ薬があります。それは、フルボキサミン(商品名ルボックス)です。 ピリベンザミンは、風邪の症状を引き起こす生体内物質「ヒスタミン」の働きを抑える、抗ヒスタミン薬と呼ばれるタイプの薬です。しかし、ピリベンザミンには、実はもう1つの顔がありました。 ピリベンザミンは、中枢神経の神経伝達をコントロールしている「セロトニン取り込み機構」「ドパミン取り込み機構」の働きを止める作用を持っています。セロトニンやドパミンは、神経細胞から分泌され神経伝達に関わる化合物。セロトニンやドパミンは、神経伝達の働きを終えると神経細胞の中