トンネルを抜けるとそこは海岸だった。 海のない街に生まれ、潮風の吹かない丘に育った。海というものはそれはそれはとても美しいものだと聞いており、実際に臨海学校、海水浴、ドライブで行った海はどれも美しいものだった。だがここはどうだ。私がいままでに(数える程しかないにせよ)行ったことのある海とはまるで様子が違っている。 朝、ドラゴンボールを見ていると突然電話が鳴った。 「どうせ暇なんだろうから写真を撮りに行きましょう」「イエス」 計画を立てるとなかなか動きだせないもので、いきなりのほうが行動に迷いがないことが多い。コトコトと電車に揺られ、同日昼には海岸に着いていた。海を見つめる隊長がいた。 「早いですね。それにしてもここはどういった場所なんですか。ひとは全然いないし、わたしはもっとこう、きらきら光っているような砂浜だとばかり…」 「bishamon」そう短く言うと、隊長は堤防を乗り越え岩場へ向か