科学の進歩のためには、どこかのある時点で誰かが命をかけなければ先に進むことはできないというポイントがあるのだろう。 本書はそんな命をかけなければならないポイントで、自らの命をかけて「自己実験」を成し遂げてきた多くの科学者、医師、軍人たちの物語である。 スポンサーリンク タイトルにある「人体実験」という言葉は生々しい。ともすればナチスの行った人体実験や日本軍の731部隊などを思い出す人も多いかもしれない。 しかし、本書が主役として取り上げる人体実験とはこれらの非人道的な人体実験とは似て非なるものだ。 自分の研究のために他人を犠牲にすることをためらわない非道な輩が行った人体実験ではなく(そういう実験についても批判的に一部取り上げてはいるけれど)、その真逆とも言えるような自らを人体実験の「材料」として使った者たちによる実験の数々である(中には自分だけではなく、家族や弟子を巻き込んでいる人たちもい