最澄と徳一 仏教史上最大の対決 (岩波新書 新赤版 1899) 作者:師 茂樹 岩波書店 Amazon 仏教というより高度な論理学の本を読んだような、不思議な読後感が得られる一冊だった。本書『最澄と徳一 仏教史上最大の対決』は、タイトル通り最澄と徳一の論争について解説してるが、ここでの争点は大ざっぱにいうと「人は誰でもブッダになれるのか」だ。最澄は一乗説(=衆生はいずれ皆ブッダになる)、徳一は三乗説(=ブッダをめざす道である菩薩乗と阿羅漢をめざす声聞乗・独覚乗が併存する)の立場である。大乗仏教の究極目的は「ブッダになること」なので、人がブッダになれるかどうかは一大問題だ。だからこの点について見解の相違があれば、大論争に発展する。 最澄と徳一の論争を理解するためには、最低限の仏教思想史をおさえておく必要がある。このため、本書の「はじめに」では最澄の時代にいたるまでの大乗仏教思想史が簡潔に説明
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