起業人 先達の苦難の道のりには、汗と涙に彩られた無数のドラマがある。そして、起業家達の苦闘の中には明日への成功のヒントとノウハウが凝縮されている。 バックナンバー一覧 四十路を前に、砂原健市は生まれて初めて、血の小便を出した。診断結果は過度のストレスによる尿管結石。その後も事業が軌道に乗るまでに計4回患い、うち2回は救急車で運ばれた。 かつて大学卒業後、東京・吉祥寺で設立した保険代理店は順風満帆だった。年商は4年で1億円、10年で6億円に達した。気がつけば、米AIUの保険代理店の中では、東京3多摩地区でナンバーワンの売り上げを誇るまでに成長していた。 だが、ある出来事を機に、その成功をばっさりと捨て去った。 会社設立から丸10年がたった1983年12月、母親が自宅で突然、倒れた。くも膜下出血だった。すぐに救急病院へと運ばれたが、脳外科はなく、総合病院へ転院したのは翌日のこと。処置が遅れたた