名張市の廃校になった小学校のプールでは現在、市が川で捕まえたオオサンショウウオ百八十匹を隔離している。体色は黒や茶で、体長は大きいもので一メートルほど。DNA鑑定待ちの個体もいるが、ほとんどが中国の外来種との交雑種と判明している。 交雑が進んだのは、日本と中国が国交を回復した一九七〇年代からという。食用として中国から輸入した外来種が野生化し、自然界で人知れず繁殖を続けたためとされる。後にワシントン条約の保護対象となって国際間商業取引が禁止され、今では外来種自体が見つかることはまれ。だが、交雑種は名張市など三重と奈良の県境の川や岡山県でも確認されており、交雑の連鎖に歯止めがかからない。 特に深刻なのは京都市を流れる鴨川水系だ。市文化財保護課によると、二〇一一年以降の調査で90%以上が交雑種と判明している。現在用いられるDNA鑑定の方法を確立し、調査にも協力した国立科学博物館の吉川夏彦研究員(