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  • 【佐藤優】中国を支配する秘密結社 - 語られる言葉の河へ

    ①楊海英『独裁の中国現代史 毛沢東から習近平まで』(文春新書 850円) ②井上ユリ『姉・米原万里』(文春文庫 700円) ③ケネス・ルオフ(木村剛久・訳)『天皇と日人 ハーバード大学講義でみる「平成」と改元』(朝日新書 810円) (1)①は、中国について知るための必読書だ。 <中国共産党を、西洋や日の政党(ポリティカルパーティー)と同じものだと考えては、大きく誤ります。その質は、社会のほとんどすべての領域で、国を支配する最高権力組織であり、体質的には監視と密告によって結束を維持する秘密結社なのです> と楊氏は指摘する。もっとも中国共産党員の数は約9,000万人なので、秘密結社としては空前の大きさと思う。中国共産党の機能を正確に理解することが、あの国の現在を分析し、将来を予測する際の鍵になる。 (2)②は、作家でロシア語会議通訳の米原万里さん(1950~2005年)の妹である井上ユ

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  • 【保健】大腸内視鏡検査の間隔 ~陰性だったら次は10年後~ - 語られる言葉の河へ

    (1)受けたくない検査の一つに大腸内視鏡検査がある。 事前の事制限や下剤の服用のほか、検査時に鎮静剤を使うので、検査後の自動車運転が禁じられるなどわずらわしい。 さらに、頻度はまれだが検査に伴う“偶発症”として、出血や腸管穿孔(腸に穴が開くこと)、激しい腹痛などのリスクのほか、検査時の投薬による死亡例も報告されている。早期発見のためとはいえ、偶発症リスクに何度も曝されるのは勘弁してほしいものだ。どの程度の間隔で大腸内視鏡検査を受けるべきなのだろう。 (2)先日、米国の保健維持組織の一つ「KPNC」から、この疑問に答える調査の結果が報告された。 同調査は、1998~2015年の利用者のうち、平均的大腸がんリスクを有する50~75歳の1,251,318人(男女比は1対1、平均年齢55.6歳)が対象。大腸内視鏡検査で陰性とされた17,253人(陰性群)と、非検査群259,373人とで、大腸がん

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  • 【保健】痛風は"ぜいたく病"ではない ~遺伝子変異の影響が大~ - 語られる言葉の河へ

    (1)世に「ぜいたく病」とやゆされ、同情どころか、からかうネタにされかねない痛風。 (2)ところが痛風の原因である高尿酸血症は、生活より遺伝子変異の影響の方が大きいことがわかってきた。 ニュージーランド・オタゴ大学の研究者らは、米国の五つの集団研究から痛風と生活、遺伝子変異との関連について統合解析を実施。対象は、18歳以上のヨーロッパ系米国人1万6,760人(男性8,414人、女性8,346人)で、腎機能障害や痛風の病歴を持たず、高尿酸血症の治療薬や利尿薬を飲んでいない人々だ。 血中尿酸値と遺伝的なプロフィル、そして生活との関連を分析した結果、血中尿酸値の高さに関連するべ物として、ビール、リキュール類、ワイン、ジャガイモ、家禽類(鶏肉など)、ジュース類、肉類(牛・ブタ・ラム)の7種類が特定された。 しかし、これらの品単独での血中尿酸値への影響は、1%にも満たなかったのである。多少

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  • 【雑学】江戸時代の貨幣の単位、いまの金額 - 語られる言葉の河へ

    1両=4分、1分=4朱、1朱=250文 →1両=4分=16朱=4,000文 1両=6~10万円 →仮に1両=8万ならば、 1分=4万、1朱=5千円、1文=20円 →仮に1両=10万円ならば 1文=25円、一貫文は25,000円 □逢坂剛、中一弥・画『闇の平蔵』(文藝春秋、2016) クリックすれば拡大

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  • 【佐藤優】転職の際にも資本主義の内在的論理を踏まえたほうがいい - 語られる言葉の河へ

    (1)<読者の中にも転職を考えている人がいると思う。あるいは、部下が転職することをやめさせたいと考えている中間管理職もいると思う。こういう人たちに書はとても有益だ。小説の構成になっているので読みやすい。印刷機器販売会社に勤務しているが、会社の状況がよくないので転職を考えている主人公(青野)が、やり手の経営コンサルタント・黒岩仁のアドバイスを受けながら成長していく姿が描かれている。> (2)<転職エージェントもビジネスだ。その報酬メカニズムについて知っておくことが重要だ。 〈僕は説明した。黒岩いわく、転職エージェントは、成果報酬型であることがほとんどらしい。そしてその報酬を受け取る権利は「転職候補者が企業と最初に接触した時点」で決められる。 たとえば、ひとりの候補者が、二つの転職エージェントからA社を紹介された場合、最初に候補者とA社の接点を作ったエージェントが報酬をもらう権利を持つ。 だ

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  • 【佐藤優】まえがき ~『人生の役に立つ聖書の名言』~ - 語られる言葉の河へ

    <「聖書」は、永遠の古典だ。どの時代においても、私たちは聖書のテキストを通じて、特別の知恵を得ることができる。 私は同志社大学神学部と大学院神学研究科の出身なので、六年間、聖書をいつも参照しながら勉強した。しかし正直に言うと、当時の私は聖書の言葉が持つ力をよくわかっていなかった。聖書の言葉よりも哲学や倫理学の用語を多用する組織神学に魅力を感じていた。 大学院神学研究科を卒業すると牧師か研究職、教育職に就くのが通例だが、私は外交官になった。外交官になり、科学的無神論を国是とする当時のソ連に赴任した。ソ連で聖書は禁書ではなかったが、入手することは至難の業だった。しかし、神は存在しないという建前になっている共産主義社会の中で、聖書の言葉がロシア人の魂をとらえている現実を私は目の当たりにした。聖書の入手が容易ではないにもかかわらず、ソ連時代のロシア人は聖書に出てくるイエスのたとえ話や聖句をよく覚え

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  • 【佐藤優】天皇が中国と沖縄を訪ねた意味 ~平成史(1)~ - 語られる言葉の河へ

    <佐藤/日人は歴史認識の前提として明治、大正、昭和、平成という時代区分を自然に受け入れています。でも、天皇の代替わりごとに歴史を括るということは、世界の普遍的価値観からすると、極めて異質な分節化です。 いま最高指導者の代替わりで歴史を区切っているのは、日以外ではカトリック教会やロシア正教会か、北朝鮮くらいでしょう。 片山/日では天皇が崩御すると元号が変わる。一世一元ですね。明治からの新しい習慣と言えます。明治維新で西洋型の近代国家を急造しようとするとき、天皇しか日国民をまとめるものがない。将軍が大名をまとめ、大名が民をまとめる。このシステムを壊して、身分制度もやめて、あとに残るのは国民意識が未成熟な民だけということになると、まとまりが作れない。 そこで将軍を任命していた天皇をたてて、あとは全部中抜きにして、天皇と民の二種類しかない国民国家をデザインした。あくまで建前ですが。とにかく

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  • 【佐藤優】日本にとっての最大の危機は反知性主義だ ~『思考法』(6)~ - 語られる言葉の河へ

    <その後バチカンが何をやってきたか、同時進行的に何をやっているかと言えば、中国封じ込めですね。バチカンと中国は、いまだに外交関係はありません。台湾とは外交関係を持っています。バチカンは台湾のことはどうでもよく、中国との関係の調整を何度も試みてきました。しかし、中国政府は一点だけどうしても譲らないことがあります。それは高位聖職者の人事権。中国政府は、高位聖職者の人事権は中国の天主教愛国会が持っていると言う。これは共産党のつくったダミー団体です。プロテスタントのほうは三自(さんじ)愛国教会という団体があります。 バチカンが外交関係を結ぶのはコンコルダート(政教協約)。通常の外交関係ではなくて、神様の世界の領域と世俗の人間の世界の領域を区別する条約です。神様との条約ですからバチカンにも絶対に譲れない点がある。それは人事権です。中国が人事権を認めないという理由で、外交関係が樹立できていない。これは

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  • 【佐藤優】一昔前なら火あぶりにされる異端思想を説教する現代日本の牧師 ~グノーシス~ - 語られる言葉の河へ

    <いずれにせよ、解決できない問題というのは出てきます。それは実証主義の枠を超えてしまう問題です。それは、史的イエスの探究から出てきました。客観主義や実証主義の方法を用いて、イエスという男がいつ生まれて、どこで何をやったかということを確定しておこうという試みです。 イエスに関しては、生まれたときの話は山ほどあります。しかし、12歳で宮参りするまでの話が欠けている。そこで、その間を埋めるための「イエスの幼年物語」という偽典、偽りの聖書が出てきます。すごい内容なので紹介しましょう。 (中略)【注】 このような話を集めたのが、「イエスの幼年物語」という偽書です。 この偽書ができた当時は、グノーシスという神秘教団がありました。キリスト教にも影響を与えていますし、ストア思想にも影響を与えています。そのグノーシス思想が入ってきてつくられた全知全能のイエス像が、これらの話にも出て来るイエスです。来のキリ

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  • 【南雲つぐみ】関節リウマチの新しい薬 - 語られる言葉の河へ

    痛みの伴う関節の腫れやこわばりで、変形や破壊へと進行する関節リウマチ。関節だけでなく、発熱やだるさ、筋肉痛、皮膚疾患、神経炎など全身に起こる症状で、QOL(生活の質)が脅かされる。 抗リウマチ薬や生物的製剤など、治療方法の開発で、発症者全体の3分の2は症状や破壊の進行を抑制できるようになったとされるが、それでもつらい状況に置かれている患者が多いという。 今年7月に承認された「オルミエント(一般名バリシチニブ、日イーライリリー株式会社発売)」は既存治療での効果が不十分な場合に適応となるリウマチ治療薬だ。体内のJAK(ジャック)という酵素を阻害して、免疫反応に関わるサイトカインの動きを抑え関節リウマチの症状を和らげる阻害剤である。 生物学的製剤が皮下注射や点滴で投与されるのに対して、剤は飲み薬となる。1日1回の服用で、状態に応じて投与量を調整できることなどが、患者の治療継続にとってメリット

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  • 【佐藤優】紅白歌合戦の持つ大きな意味 ~「日本」論(4)~ - 語られる言葉の河へ

    <私は、「紅白歌合戦」は大きな意味を持っていると思っています。東京拘置所でも「紅白歌合戦」は流れました。ふつう東京拘置所では、ラジオはぴったりと8時55分に終わります。それで9時に減灯する。消灯ではありません。監視の関係で、独房の中には少し電気がついており、減灯というのです。そのため、私は檻から出て娑婆に戻って来ても、夜電気がついていないとよく寝られません。また、独房の中は静かなため、時計の音がうるさくて眠れませんでした。それで、時計を止め、蛍光灯を点けて寝ることがしばらく続きました。 そのような東京拘置所であっても、12月31日は特別な日です。まず、午後2時ぐらいに、お菓子セットが差し入れられました。結構いろいろ入っていました。大きな袋の中に、揚げせんべいやなんとかまんじゅうが入っている。ところが、何か口に残る感触があります。包みの表示を見ると、賞味期限が1月2日までと書いてありました。

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  • 【保健】高血圧は血管内治療の時代へ? ~腎デナベーション~ - 語られる言葉の河へ

    (1)利尿薬を含め、3種類以上の降圧剤を飲んでいるのに、目標値まで血圧が下がらない人を「治療抵抗性高血圧」という。 今までは薬を重ね、生活習慣を厳しく管理するしか手だてがなかったが、高血圧を外科的に治療する「腎デナベーション」が実用化目前にある。 (2)血圧が上昇する仕組みはさまざまだ。なかでも“闘争-逃走”神経の交感神経ネットワークを介した腎臓の影響は大きい。 何らかの刺激で交感神経系が亢進すると、心拍数が増え、血管が収縮し、血圧が上昇する。その際、腎臓から血管の収縮に働く「レニン」という物質が放出され、血管がきゅっと引き締まり、出血沙汰に対する防御を固める。 その刺激が腎臓動脈周辺の交感神経の活動を高め、さらにレニンが分泌され、ますます血圧が上昇してしまうのだ。 (3)このメカニズムは古くから知られ、1950年代には手術で交感神経を切除する方法が試みられてきた。ところが術後の合併症が重

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  • 【佐藤優】「三回読み」という技法 ~『国語ゼミ AI時代を生き抜く集中講義』~ - 語られる言葉の河へ

    <感化によって「読む力」が身についてはじめて、「技法」というものが意味を持ってきます。逆に、いくら技法を知っていたとしても、感化という「きっかけ」がなければ、物の読書力には結びつかないでしょう。 そして「技法」とはいえ、それはあくまで目安であり、参考とするべきものであって、絶対的なものではないことを忘れないでください。 読者の参考のために、筆者が実践している読書の技法を挙げておきます。 熟読の要諦は同じを三回読むことです。 一度目の通読では、重要と思う箇所に傍線を引いたり、理解できない箇所に「?」を記したりと、に印をつけていきます。 二度目の読書では、特に重要な箇所を線で囲む。このとき、囲みはどんなに多くてもテキストの十分の一にとどめることが大切です。 囲みの作業が終わったら、今度はそのなかで知識として定着させたい箇所や、を評価するうえで気になる箇所などを中心にノートに書き写す。そ

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  • 【佐藤優】『日本を蝕む「極論」の正体』 - 語られる言葉の河へ

    ★古谷経衡『日を蝕む「極論」の正体』(新潮新書、2018) (1)左右の両極端から嫌われている若手論客 <評者が現在、いちばん注目している若手の論客は古谷経衡(つねひら)氏(35歳)だ。古谷氏は、 〈私は、左翼からも右翼からも嫌われている。いやはや、実に結構なことだ。左右の両極端から嫌われているということは、少なくとも彼らの住まう閉鎖的な空間の中にはいない、ということだ。彼らから発せられる極論から遠い、ということだ〉。 確かに極論が好きな人から古谷氏は煙たがられているが、評者のように同氏の論評のファンも多い。> (2)左翼も右翼も反対するTPP <古谷氏は政治評論だけでなく『「意識高い系」の研究』(文春新書、2017)のように人間心理の分析についても長(た)けている。古谷氏は左右両極が似たような奇妙な言説を展開している事例として、環太平洋経済パートナーシップ(TPP)の例をあげる。 〈「

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  • 【保健】帯状疱疹は予防できる時代 ~50歳以上はワクチン接種を~ - 語られる言葉の河へ

    (1)疲れがたまると暴れだす「帯状疱疹」。加齢もリスク因子で50代以降に発症率が上昇し、60代でピークを迎える。 (2)帯状疱疹は、いわゆる水ぼうそうの原因ウイルス(VZV)が初感染後に神経細胞に潜伏し、疲労やストレスをきっかけに再活性化して発症する。子供のころに水ぼうそうに感染した人のうち、10~30%が80歳までに帯状疱疹を経験すると推測される。 症状としては、ピリピリするような痛みが先立って現れ、その数日後に左右どちらかの顔や腕、背中、腰回りなどに赤い斑点と小さな水ぶくれが帯状に出現。水疱が破け、かさぶた状になるまでの期間は10日~2週間程度で、皮膚の表面が正常に戻るまでには1カ月ほどかかる。痛みが消えるにはさらに数週間が必要だ。 重症化すると血管炎や脳梗塞につながるほか、高齢者では腎不全や感染症リスクも高くなる。また、数カ月~数年続く「帯状疱疹後神経痛」が残ることがあり、個別のケー

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  • 【本】世界中で食べられるトマト缶 ~消費者が知らない驚愕の事実~ - 語られる言葉の河へ

    ★ジャン=バティスト・マレ(田中裕子・訳)『トマト缶の黒い真実』(太田出版 1,900円) (1)生野菜の価格が高騰する昨今、料理のために「トマト缶」のお世話になる人も多いかもしれない。 しかし、その中身はよく見かけるように当にイタリア産のものなのだろうか? 実は、加工用トマトの輸出国トップは中国で、生産国としても米国に次ぐ世界2位の座にある。今や、トマトも、中国を抜きにしては語れないのである。 (2)『トマト缶の黒い真実』は、著者が中国からイタリア、米国やアフリカの地を歩き回って、トマト加工産業の不透明な実態に迫るルポルタージュだ。 書で指摘されるように「ほのぼのとしたイメージ」に包まれているトマトは、実際には過去50年間で生産量が60倍に増え、それとともにグローバルな貿易の波に洗われて、巨万の富を生むようになった農産品なのだ。 (3)考えてみれば、トマトは資主義と親和的だ。 南米

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  • 【佐藤優】オウム事件が他人事ではない理由 ~宗教と資本主義・国家~ - 語られる言葉の河へ

    <【オウム真理教のような新興宗教に若者がコロコロッと流れたとき、日における伝統的な教団や宗派は何をしていたのか、という外からの批判、あるいは自己批判について】 それはとても重要な話です。先ほどフロマートカという神学者について述べましたが、彼は共産主義が影響力を持ったときに、キリスト教はこの現象をもっと自己批判的に捉えないといけない、イエスは貧しい者たちと共に常にあったではないか、といった人です。そしてキリスト教と国家はもともと緊張関係にあったではないか、と。 (中略) いつの間にか、市民社会とプロテスタンティズムが一体化してしまい、上品かつ小金のある奴らの宗教になってしまいました。だから、われわれの不作為が共産主義を生み出した、というように考えないといけないのではないか、と。フロマートカのいったことは今でも正しいと、私は思っています。 オウム真理教についても、「邪教だ」云々といって責める

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  • 【佐藤優】沖縄における魂観 ~宗教と資本主義・国家~ - 語られる言葉の河へ

    <同時に、母親にも私にも日の神道に対する沖縄的なアンビバレントな感覚もあります。沖縄にはいわゆる神道的な発想ではなく、ニライカナイという発想があるのです。海のはるか向こう側に異郷があり、良いことも悪いことも両方そこからやってくる、という発想です。そこは地獄であるとともに楽園であるような、不思議な場所です。物事を二元的に理解する背景には、そういう発想もあるように思います。 (中略) 沖縄では魂を「マブイ」と言いますが、マブイは六つあるといわれています。 去年、二十歳の女性が米軍属(元海兵隊員)に殺された事件がありました。彼女のお父さんは私と同年ですが、娘の白骨の死体が出たとき、彼が「ここにはマブイがない。いくつか欠けている」といったという記事を琉球新報で読みました。大怪我をしたり怖い目に遭うと、マブイはその人から落ちてしまいます。だから彼は、娘がひどい目に遭い、殺された現場で落ちたマブイを

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  • 【本】いかに“米中戦争”を避けるか ~歴史から国際政治を類推する~ - 語られる言葉の河へ

    ★グレアム・アリソン( 船橋洋一・序文、藤原朝子・訳)『米中戦争前夜――新旧大国を衝突させる歴史の法則と回避のシナリオ』(ダイヤモンド社 2,000円) (1)この数年、国際政治の関係者の間で大きな関心を集めている疑問が一つある。それは、「米国と中国当に衝突するのか」というものだ。 欧州ではロシアの脅威が増しているが、東アジアでは中長期的に米中衝突の可能性が取り沙汰されて久しい。その問題を正面から扱った決定版と言えるのが書だ。 著者は、米ハーバード大学の名物教授で、1962年の「キューバ危機」に新しい分析法で迫ったことで名高い国際政治学者のグレアム・アリソンである。最近は、北朝鮮の核ミサイル問題を契機として、米中戦争が始まる可能性について学問的に分析している。 (2)書の全体的な特徴としては、次の3点が挙げられる。 (a)書の「システム」という考え方だ。既存の大国と新興大国が紛争

  • 【南雲つぐみ】このごろ米国に流行る「コンブ茶」 - 語られる言葉の河へ

    数年前から、アメリカやカナダ、ハワイなどで「コンブ茶(Kombucha)」という飲料が定着しているという。しかし、昆布茶のことではない。日で1975年ごろに流行した紅茶キノコのことだ。 紅茶キノコは、紅茶に砂糖を入れ、酵母菌などを加えて発酵させたもの。これを飲む健康法が大ブームになった。 当時は、大きな容器に手作りする家庭が多かった。わが家でも一時期作っていたようだが、茶色い液体の中に、クラゲのようなゼリー状の物体が浮いていて、飲みたいとは思えなかった。 実際の健康効果はどうだったのだろうか。75年に出た論文では、発酵の過程で砂糖(ショ糖)が分解され、ブドウ糖や麦芽糖などの還元糖が増えることや、ビタミンCが増えることが報告されている。 海外のコンブ茶は、瓶入り飲料として販売されている。酵素、乳酸菌、アミノ酸、ポリフェノールなどが含まれ、抗酸化作用が高いとされている。 □南雲つぐみ(医学ラ