1. はじめに 第1話の冒頭でも述べたように、日本は今、未曾有の人口減少に直面しています。図1は、社会保障・人口問題研究所(社人研)が、2023年に発表した、日本の人口の将来推計です。1 この図には、出生率と死亡率の推計値に応じて、日本が歩みうる3パターンのシナリオが示されています。オレンジ色のグラフは中位推計で、出生率・死亡率が2020年の水準で維持された場合の予測です。社人研では、この推計が最も自然なベースラインのシナリオとしています。それに対して、青色のグラフは低位推計で、出生率が低く死亡率が高い、悲観的なシナリオ、緑色のグラフは高位推計で、出生率が高く死亡率が低い、楽観的なシナリオです。出生率は中位推計で1.36、低位・高位推計では、それぞれ1.13と1.64です。 図1. 全国人口の将来推計 2022年の出生率は1.26まで低下し、今も下がり続けています。現行の少子化対策ではこの