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ブックマーク / honz.jp (16)

  • 2011-2024 この13年間における最高の一冊 - HONZ

    2011年7月15日にオープンしたノンフィクション書評サイトHONZ。日2024年7月15日をもちまして13年間のサイト運営に終止符を打つこととなりました。 2011年の東日大震災から、記憶に新しいコロナ禍まで。はたまたFacebookの時代からChatGPTの到来まで。その間に紹介してきた記事の総数は6105。 発売3ヶ月以内の新刊ノンフィクションという条件のもと、数々のおすすめを紹介する中で、様々な出会いに恵まれました。信じられないような登場人物たち、それを軽やかなエンターテイメントのように伝える著者の方たち、その裏側で悪戦苦闘を繰り広げていたであろう版元や翻訳者の皆さま。さらに読者へ届ける取次会社や書店員の皆さま、そしてHONZを愛してくださったすべての皆さま、当にありがとうございました。 サイトを閉じることになった理由に、明快なものは特にありません。こんなサイトがあったら

    2011-2024 この13年間における最高の一冊 - HONZ
  • 『トヨタ 中国の怪物』トヨタの中国進出と創業家世襲に秘められた歴史 - HONZ

    トヨタ 中国の怪物 豊田章男を社長にした男 作者: 児玉 博 出版社: 文藝春秋 発売日: 2024/2/7 一見関係のないものを掛け合わせると、思いもよらない新しいものが生まれることがある。書は「中国現代史」と「トヨタ創業家の歴史」を組み合わせることで、これまでにない角度からトヨタの核心部分を描くことに成功している。 異質なものを掛け合わせるには触媒が必要だが、書では、ひとりの男性がその役割を務める。男の名は、服部悦雄。”低迷していたトヨタ中国市場を大転換させた立役者”であり、”トヨタを世界一にした元社長、奥田碩を誰よりも知る男”であり、”創業家の御曹司、豊田章男を社長にした男”でもある。そんなキーパーソンへの長時間にわたるインタビューをもとにまとめられたのが書だ。 このには読みどころがふたつある。ひとつは、中国現代史の暗部を身をもって体験した服部の貴重な証言。そしてもうひとつ

    『トヨタ 中国の怪物』トヨタの中国進出と創業家世襲に秘められた歴史 - HONZ
  • 『宗教の起源──私たちにはなぜ〈神〉が必要だったのか』 ダンバー数、エンドルフィン、共同体の結束 - HONZ

    ロビン・ダンバーは、彼が提唱した「ダンバー数」とともに、その名が広く知られている研究者である。ダンバー数とは、ヒトが安定的に社会的関係を築ける人数のことであり、具体的には約150と見積もられている。ダンバーは、霊長類各種の脳の大きさ(とくに新皮質の大きさ)と集団サイズの間に相関関係があることを見てとり、ヒトの平均的な集団サイズとしてその数をはじき出したのであった。 さて、そんなダンバーが書で新たな課題として取り組むのが、「宗教の起源」である。人類史において、宗教はどのようにして生まれ、どのように拡大を遂げていったのか。宗教に関する広範な知識に加えて、専門の人類学や心理学の知見も駆使しながら、ダンバーはその大きな謎に迫っていく。 ダンバーも言及しているように、現生人類の歴史のなかで、宗教は個人や社会に対していくつかの利益をもたらしてきたと考えられる。その代表的なものを5つ挙げるとすれば、(

    『宗教の起源──私たちにはなぜ〈神〉が必要だったのか』 ダンバー数、エンドルフィン、共同体の結束 - HONZ
  • 『ザ・パターン・シーカー──自閉症がいかに人類の発明を促したか』 if-and-then思考とハイパー・システマイザー - HONZ

    エジソンやビル・ゲイツもそうなのだという。あるいは、ピアニストのグレン・グールドや、バスケットボール選手のコービー・ブライアントも。彼らはみな「パターン・シーカー」、すなわちパターン探しの達人であると考えられる。そして、そのようなパターン・シーカーこそが人類の偉大な発明を導いてきたのだと書は主張する。 書の著者は、イギリスの著名な心理学者サイモン・バロン=コーエンである。彼が「パターン・シーカーこそが人類の偉大な発明を導いてきた」と言うとき、その意味するところはふたつある。ひとつは、上で述べたように、偉大な発明家の多くが卓越したパターン・シーカーであること。そしてもうひとつは、ヒトが身につけたパターン探しの能力こそが、ヒトの進化史において偉大な発明を導いてきたということである。 ならば、そのパターン・シーカーという特性はどのようなものだろうか。それは、簡単に言えば、一見しただけでは明ら

    『ザ・パターン・シーカー──自閉症がいかに人類の発明を促したか』 if-and-then思考とハイパー・システマイザー - HONZ
  • 【連載】『全国マン・チン分布考』第1回:京都の若い女性からの切実な願い - HONZ

    京都の若い女性からの切実な願い 1995年5月初旬のことです。ユニークな内容が書かれた一通の手書きの依頼文が、『探偵!ナイトスクープ』に寄せられました。そのころはまだパソコンが普及していませんでしたから、依頼は必ず、はがきか手紙で寄せられました。 手紙をくれたのは、京都市内に住む24歳の女子学生でした。地元京都で学生になる前に、東京で働いていた時期があったようです。この依頼はまさにこののテーマ、なんと「女陰」の名称の全国方言分布図を作成してほしいと求める内容だったのです。こんなお願いが、若い女性から、しかも大真面目な文章で寄せられてくるとは、夢にも思っていませんでした。 私たちに依頼文が届いたのは、1991年5月24日に「全国アホ・バカ分布図の完成」編を放送してから、ちょうど4年が経ったころでした。この放送をきっかけに、私が「アホ・バカ方言」の研究を仕事の合間に始め、『全国アホ・バカ分布

    【連載】『全国マン・チン分布考』第1回:京都の若い女性からの切実な願い - HONZ
  • 『他者の靴を履く アナーキック・エンパシーのすすめ』まず自分の靴を脱ぐこと 足元から世界を変えていく - HONZ

    著者が今、最も旬な書き手であることを確信させられる一冊だ。世界を覆う社会的なテーマを生活者として語り、解決のヒントを暮らしの中に見出す。そのスタンスや主張は数年前からさほど変わらないはずだが、時代が追いついてきた印象もある。 ブレイディみかこ氏が作で選んだテーマは「エンパシー」。これは他者の感情や経験などを理解する「能力」を指す。エンパシーは「意識的に他者の立場で想像する作業」すなわち「他者のを履く」試みでもあり、その点で、共鳴する相手やかわいそうに思う相手に向けて心の内側から湧いてくる「シンパシー」と異なる。そして、能力であるエンパシーは、訓練によって向上させることができる。 書では、この抽象的な概念が身近なトピックを通じて語られ、骨太なテーマへと昇華されている。エンパシーはどのようにすれば向上させられるのか、優秀な女性指導者とエンパシーに関係はあるのか、サイコパスとエンパシーの関

    『他者の靴を履く アナーキック・エンパシーのすすめ』まず自分の靴を脱ぐこと 足元から世界を変えていく - HONZ
  • 『予測不能の時代』体の動きで心を変える、心の動きで組織を変える - HONZ

    未来は予測不能だ。そんなことは誰でもわかっているし、今ほどこの言葉が実感を伴うときもないだろう。しかし、である。世の中の仕組みの多くは「予測可能」を前提に成り立っているのが実態だ。 例えばルール。過去の経験に基づき作られたルールは、状況が予測不能に変化すると、まったく役に立たなくなる。それどころか、ルールの持つ硬直性が、新たな状況への適応を阻む結果にもつながってしまうのだ。同種のものに、計画、標準化、そして内部統制などがある。 ならば思い切って「未来は予測不能」という前提に立ち、変化の中でも変わらない、普遍的なものに着目してみたらどうなるだろうか? 書は前著『データの見えざる手』でデータを活用し、人間社会のさまざまな法則を明らかにした矢野和男氏が、「予測不能な世界の中で幸せに生きる」というテーマについて綴ったものである。著者は、前提を変えることによって、社会や企業の経営は大きく変えられる

    『予測不能の時代』体の動きで心を変える、心の動きで組織を変える - HONZ
  • 間違いは学習の原動力である 『脳はこうして学ぶ──学習の神経科学と教育の未来』 - HONZ

    わたしたちは多くのことを頭で学ぶ。すなわち、わたしたちの学習はおもに脳が担っている。しからば、脳がいかにして学ぶかを知れば、わたしたちの学習と教育についても重要な示唆が得られるのではないか。書は、そんな着想を具体的な形にまとめた一書である。 著者のスタニスラス・ドゥアンヌは、フランスの著名な認知神経科学者である。これまでに『意識と脳』や『数覚とは何か?』などの著書があり、内容は硬派ながら、一般読者をも惹きつけてやまないエキサイティングな議論を展開してきた。今回のでも、神経科学や人工知能教育学などの知見をうまくミックスしながら、一般読者でも存分に楽しめる議論を繰り広げている。 書は3つの部から構成されている。第I部では「学習とは何か」を問い、学習の定義を示したうえで、その含意を掘り下げていく。続く第II部では、「脳はいかにして学習するのか」を扱い、脳が「生まれ」と「育ち」の両方によっ

    間違いは学習の原動力である 『脳はこうして学ぶ──学習の神経科学と教育の未来』 - HONZ
  • 身体と脳の寿命のギャップを埋める処方箋 『脳寿命を延ばす』 - HONZ

    「社会保険料の負担が重くなるから気をつけろ!」起業家の先輩に話をきくと、みな口を揃えてそう私に警告した。これまで会社が出してくれていた分を自分が払うのだから当然だ。もとより私もそれは織り込み済みなので、軽く「了解、了解」と聞き流していた。しかし、先日のニュースをみて愕然とした。 財務省によると、令和2年度の「国民負担率」(所得に占める税金や社会保険料などの負担の割合)は令和元年度より1.7ポイント増えて46.1%となり過去最大となる、という。ある先輩が「役員報酬を設定しても、手元に残るのは6割程度だ」と言っていたのを思い出した。この46.1%という数字を見て、初めて私は事の重大性に気づいたのである。 新型コロナの影響がニュースでは強調されていたが、調べてみると、国民負担率はこの50年で約20%も上昇している。私のように負担が急激に増えるケースは少ないかもしれないが、会社員の皆さまは是非とも

    身体と脳の寿命のギャップを埋める処方箋 『脳寿命を延ばす』 - HONZ
  • 『友達の数は何人?』 - HONZ

    今年これまでで、もっとも面白かったである。書評を書くと決めたを読むときには、引用したいページに付箋を張りつけるのだが、あまりに数が増えたため、さらに厳選して別の付箋を張りつけたほどだ。おそらくボクにとって今年の科学読み物ナンバーワンだろう。 著者はオックスフォード大学の認知・進化人類学研究所所長だ。「気のおけないつながりは150人まで」という「ダンバー数」の発案者だ。この150人とは部族、軍隊などだけでなくSNSにおいても見出すことができるとして、ネットで有名になったらしい。そのため、2匹目のドジョウを狙ったらしく、書の原書タイトルも『友達の数は何人必要か?』となっている。しかし、このダンバー数についての記述は全20章中たった1章のみなのだ。 じつは書は生物の進化を縦糸にし、科学の森羅万象を横糸として織り上げたタペストリである。ひどく上質な科学トリビアも織り込まれている。どれだけの

    『友達の数は何人?』 - HONZ
  • 『恐れのない組織――「心理的安全性」が学習・イノベーション・成長をもたらす』チーム研究の第一人者が唱える「心理的安全性」とは? - HONZ

    『恐れのない組織――「心理的安全性」が学習・イノベーション・成長をもたらす』チーム研究の第一人者が唱える「心理的安全性」とは? 組織の中で、自分の発言が曲解されてしまうのではないかとか、それで足を引っ張られるのではないかと心配しだしたら、表立った発言は控えるようになり、裏で根回しするようになるのではないだろうか。 今回の東京五輪・パラリンピック組織委員会会長の女性理事登用についての発言も、むしろそうしたありがちな状況を積極的に利用して会議を早く終わらせてしまおうという、いかにも日的なものだったのではないかと思う。 こうした問題は、組織で働いたことがある人なら、多かれ少なかれ誰でも経験しているはずである。そうした何とも言えない嫌な空気から解放された組織を、「恐れのない組織(The Fearless Organization)」という分かりやすい言葉で示してくれたのが書である。 書は、『

    『恐れのない組織――「心理的安全性」が学習・イノベーション・成長をもたらす』チーム研究の第一人者が唱える「心理的安全性」とは? - HONZ
  • 2020年 今年の一冊 - HONZ

    HONZメンバーが選ぶ今年最高の一冊。コロナ一色だった2020年も、このコーナーがやってまいりました。 2011年から始まったこのコーナーも、なんと今年で10回目。歴代のラインナップはこちらから見られるのですが、「2011年はメンバー12人しかいなかったのかよ」とか「やっぱり2017年の塩田春香を野グソで挟んだ年が神回だな」とか、色々と感慨深いものがありますね。 そんなワケで、今年もメンバーがそれぞれの基準で選んだ今年最高の一冊を紹介してまいります。まずは今年入った新メンバーと、僕宛に原稿を送るとき、Facebook Messengerで送ってきた人たちによる紹介です。 ちなみにHONZメンバーへの業務連絡ですが、原稿を送る時はMessengerへテキストをダイレクトに貼った状態で送ってくれると一番ラクで助かります。 鈴木 洋仁 今年最も「ジャケ買いした」一冊 このは、レコードマニアによ

    2020年 今年の一冊 - HONZ
  • 我々は操られているのかもしれない『マインドハッキング:あなたの感情を支配し行動を操るソーシャルメディア』 - HONZ

    ソ連が西側のエージェントを使って米国の政治動向をコントロールする。冷戦時代にそんな小説が書かれていたら、とんでもなく陳腐なストーリーと思われたことただろう。しかし、現在は違う。ロシアがケンブリッジ・アナリティカ(CA)という会社を使って、トランプの大統領選に大きな影響を与えたのである。 そんなもの陰謀論のたぐいではないかという人にこそこのを読んでほしい。ぶっちぎりのリアリズムだ。なにしろ、知らず知らずにそのプロジェクトに巻き込まれ、命懸けでそのことを内部告発したクリストファー・ワイリーが著者なのだから。 ピンク色の髪に鼻ピアスといういでたちのワイリーは先天性の疾患で肢体が不自由、そしてゲイのカナダ人だ。そういった出自がCAの仕事に携わり、内部告発するにいたったことに大きな影響を与えたという。 CAをウィキペディアで調べると「かつて存在したデータマイニングとデータ分析を手法とする選挙コンサ

    我々は操られているのかもしれない『マインドハッキング:あなたの感情を支配し行動を操るソーシャルメディア』 - HONZ
  • 『事実はなぜ人の意見を変えられないのか』 不都合な真実から目を背ける人たち - HONZ

    具体的な数字やデータを示してもダメ。明晰な論理で説いてもムダ。そんなとき、あなたはきっとこう思ってしまうのではないか。「事実はなぜ人の意見を変えられないのか」。 実際問題、日々の生活でそんな思いを抱いてしまう場面は少なくないだろう。失敗例がすでにいくつもあるのに、それでもまだ無理筋を通そうとする社内のプレゼンター。子育てのあり方をめぐって、何を言っても聞く耳を持ってくれないパートナーなど。また不思議なことに、たとえ高学歴の人であっても、「事実に説得されない」という点ではどうやらほかの人と変わらないようだ。 さて書は、冒頭の問いを切り口としながら、人が他人に対して及ぼす「影響力」について考えようとするものである。心理学と神経科学の知見を織り交ぜつつ、著者は早々に厳しい診断を下す。 多くの人が「こうすれば他人の考えや行動を変えることができる」と信じている方法が、実は間違っていた…。 数字や統

    『事実はなぜ人の意見を変えられないのか』 不都合な真実から目を背ける人たち - HONZ
  • 物語はいかに、どれほどこの世界に影響を及ぼしているのか──『物語創世──聖書から<ハリー・ポッター>まで、文学の偉大なる力』 - HONZ

    物語はいかに、どれほどこの世界に影響を及ぼしているのか──『物語創世──聖書から<ハリー・ポッター>まで、文学の偉大なる力』 物語とは、いったいどれほどの力を持っているのか? ギルガメッシュ叙事詩や『イリアス』のように、時に偉大な物語は人々の文化の「基盤」となって、行動や思考に大きな影響を与えることがある。 基盤テキストとはなにか 書では、そのような世界に対して強い影響力を持つ物語のことを「基盤テキスト」と呼称している。その格好の一例は聖書だ。たとえば、アポロ計画二度目の有人宇宙飛行ミッションにあたるアポロ8号が、月の周回軌道を回っている時に、聖書の『初めに、神は天地を創造された』から始まる10節を、何十億もの地球の人々へ向けたメッセージとして読み上げた。 しかし、アポロ八号が教えてくれた最も大事なことは、聖書などの基盤テキスト(foundational text)がいかに強い影響力をも

    物語はいかに、どれほどこの世界に影響を及ぼしているのか──『物語創世──聖書から<ハリー・ポッター>まで、文学の偉大なる力』 - HONZ
  • 『アナログの逆襲 「ポストデジタル経済」へ、ビジネスや発想はこう変わる』 - HONZ

    デジタルの先にあるアナログへ いま、さまざまな分野でアナログの魅力が再注目され、ヒットしている。たとえば、音楽でもCDの売上は落ち込む一方なのに、アナログ・レコードは世界的に人気が高まっており、売上も大きく伸びている。 こうした現象が興味深いのは、アナログ人気がけっして過去を振り返るノスタルジーではないことだ。今日のアナログ・ブームを牽引しているのは、幼い頃からデジタルに慣れ親しんでいる若い世代である。また、デジタルの最先端にあるGAFAグーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)などの企業も、アナログ的発想を重視しはじめている。 そう、いま台頭している現象は、「デジタルの先にあるアナログ」であり、「ポストデジタル経済」へ向かう大きな潮流なのだ。 書は、第1部「アナログな<モノ>の逆襲」で、レコード、紙、フィルム、ボードゲームの人気を通して、こうしたアナログ・ブームの実態と背景を探る

    『アナログの逆襲 「ポストデジタル経済」へ、ビジネスや発想はこう変わる』 - HONZ
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