荻上チキ: 今年の7月にPHP新書から『ネットいじめ~ウェブ社会と終わりなき「キャラ戦争」』という本を出しました。この本を書いたときに、僕が表のテーマとして意識したのは、「ネットいじめ、あるいは学校勝手サイト、一般に学校裏サイトと呼ばれるものについての実態を調査し、その上でメディアイベント化した流言についての批判的な検証を行う」ということでした。 テレビ、新聞、雑誌では、学校裏サイトやネットいじめについて、「子どもたちに携帯を持たせてしまうと、ネガティブな現象を起こしがちであるので、フィルタリングをかけるなり、原則学校に持ち込みを禁止するなりした方がいいのではないか」というディスカッションの導入として、これらの現象が取り上げられていた感がある。けれど、「果たしてそういったディスカッションを行うために、ネットいじめや学校裏サイトといった事例を取り上げることは妥当なのかどうか」といったことの