「恥ずかしいことは、いっさいありません。顔と名前を出して、正々堂々と闘おうと決意しました」――今年の2月、大阪府立の高校に勤務する現役の若手教員が、実名・顔出しで記者会見に臨んだ。 覚悟の訴えをおこなったのは、西本武史さん。長時間労働により適応障害を発症したとして、損害賠償を求めて、府を提訴した。 西本先生は休職を経て、いまは職場に復帰して2年目である。現役の教員が実名・顔出しで裁判報道に応じるのは、異例といえる。 じつは、記者会見の数日前に先行報道があった時点では、西本先生は匿名で対応していた。ではなぜ、実名・顔出しを決断したのか。先月23日に第1回の口頭弁論を終えた西本先生に、その覚悟に至った思いを取材した。その語りからは、生徒の前に立つ「教師」としての思いが見えてくる。 (事案の概要) 訴状によると、西本先生は2017年度に入ってから、教科担当、学級担任、運動部顧問等の業務に加えて、