本には、著者の主観から語る本と客観的なスタンスで語る本がある。ここでは仮に前者を文学、後者をサーベイと呼ぶことにするが、あらゆる本には両方の要素が含まれている。 ただ、大半の本は、文学/サーベイという二つの要素のうち、便宜的にどちらかを強調される。売り方としてそうなるし、読む方もそれを受けいれて、文学として読むかサーベイとして読むか、どちらかの読み方をする。便宜ではあるが、便宜が通用する範囲が大きいので、本は文学かサーベイのどちらか片一方であるというのもほとんど事実でもあった。 しかし、最近の世の中は、主観からも客観からもスルリと逃げてしまう。「今」を語るには、この両者が複雑に入り交じったスタイルをとることが必要とされる。 「ウェブ時代を行く」等が典型だが、梅田望夫さんの本は表面的に見ると、人生訓を述べる主観の本のような顔をしている。でも、その背後には、偏執狂的とも言える「名言コレクター」