ウソをついただけで舌を抜いてしまう、という滅茶苦茶なお方がいらっしゃる。地獄の閻魔(えんま)様である。 舌を抜かれると、話すことも食べることも不自由になる。もちろん障害者手帳の交付対象である。ウソをついただけで、このような障害を一生背負って生き続けなければならない不条理さ。 国連や人権団体なんかに知られたら大変なことになりそうだが、そんな閻魔様を展示しているお寺が大阪にあると新聞に紹介されていた。 滅茶苦茶なモノが大好きなぼくとしては、これは是非とも足を運んでおきたいところだ。 そこで今回は、大阪は平野区にある全興寺・地獄堂を訪れてみることにした。 (text by ステッグマイヤー名倉) 境内に入るとすぐ地獄堂 新聞記事を片手に地下鉄平野駅から歩くこと5分少々。生活感あふれる商店街のド真ん中に全興寺は鎮座していた。 おお、げにおそろしき閻魔様はここに展示されているのか! …と戦々恐々の思