大阪には市営の渡し船がある。手こぎではなくてエンジン付き。歩行者だけでなく自転車ごと乗ることもできる。それがなんと無料で、21世紀になっても8航路が現役で運航されている。今日はそのうち7航路を乗り継いでみた。 (text by 上泉純) 木綿のてさげバッグにデジカメ、ノート、文庫サイズの大阪市の地図。そして凍らせた鉄観音茶を1.5リットル。むぎわら帽子をかぶってママチャリで出発した。 第一航路「甚兵衛渡船」(じんべえとせん) 大阪市港区と大正区を結ぶ路線だ。いつもなら高校生やら通勤の人やらで積み残しが出るやら、二艘の渡船でピストン輸送しているほど混んでいるのだが、今は3人だけ。よく考えると日曜日に乗るのははじめてだ。乗船時間は約50秒。空き缶集めのおっちゃんが缶をがちゃがちゃ鳴らしながら走り去ってゆく。