ブックマーク / www.newsweekjapan.jp (211)

  • 習近平も演説で引用...トンデモ論文が次々生まれるほど、諸葛亮が中国で一目置かれている理由とは?

    場の中国でも根強い人気の『三国志』と諸葛亮。 近年は魅力的なキャラクターとして描いた日側の人物解釈が中国に逆輸入されている> 最新の内閣府の世論調査で国民の約9割が「中国に親しみを感じない」と回答するなど、現代日人は中国が「嫌い」だ。しかし、『キングダム』や『パリピ孔明』など中国史が題材のエンタメは大人気。その筆頭格が『三国志』で、日人には古くから中国史への多大なるリスペクトがある。 中国の社会の底流には今も歴史が流れ続けており、習近平も演説に古典を引用し続けている。現代の中国社会と中国共産党は、自国の歴史をどう見ているのか? 令和日中国報道の第一人者・安田峰俊による話題書『中国ぎらいのための中国史』(PHP新書)の「第一章 奇書」より一部抜粋。 諸葛亮の『出師表』を引用する習近平 諸葛亮はおそらく、日人の間で最も有名な中国史の人物の一人だ。そのプロフィールを簡単におさらい

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  • 深圳日本人学校の男児殺害に日本はもっと怒るべきだ

    <深圳日人学校に通っていた日人の男子児童が殺害された。日政府は「誠に遺憾」と述べ、中国政府は「どの国でも起こりえる」と主張しているが、反日感情が生み出した凶行に対し、私たちはもっと怒るべきではないか> 深圳日人学校に通っていた日人の男子児童(10歳)が9月18日、中国人の男(44歳)に刃物で襲われ、翌日未明に死亡した。 今回の事件によって、日人の対中感情は一段と悪化した。2012年の尖閣国有化によって生じた反日デモ以来、最悪かもしれない。いや、「中国=何をするか分からない怖い国」というイメージは、2012年の頃よりも今のほうがずっと強いだろう。 中国に対して多くの日人が抱いている嫌悪感や恐怖心を、今回の事件は決定的に強めてしまった。 事件について上川陽子外相は「今般の事案を極めて重く受け止めている。登校中の児童に対して卑劣な行為が行われたことは誠に遺憾だ」と述べ、岸田文雄首相

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  • 実は暴動の多いイギリスで、極右暴動が暴いた移民問題の真実

    <誤情報をきっかけに広がった極右による反移民暴動だが、イギリス世論は暴動や人種ヘイトを非難しながらも無秩序な移民急増にも反対している> イギリス各地で7月末に広がった極右による暴動から、ある程度の時間が経過した。暴動は犯罪で止めなければならず、加害者は法によって罰せられるべきだ、という当初の(まっとうな)反応から、より踏み込んだ洞察ができそうだ。 第1に、実際のところイギリスで、暴動はそれほど珍しくない。並べてランク付けだってできる。だから今回の暴動は2011年の大規模暴動以来「最悪」と位置付けられる。 2020年のBLM(黒人の命も大事)抗議運動の騒動よりも「深刻」で広範に拡大した。さらに7月中旬に中部リーズで起こった暴動(極右暴動とは無関係で、おそらく国外ではニュースになっていないだろう)も「かすませて」しまった。 1981年、1985年、1990年、2001年も暴動が頻発した。言い換

    実は暴動の多いイギリスで、極右暴動が暴いた移民問題の真実
  • ウクライナ地上軍がロシアに初の大規模侵攻、ロシア軍はなぜ来ない?

    ウクライナ軍の地上侵攻3日目になってようやく口を開いたプーチン(写真は7月31日、モスクワ) Sputnik/Gavriil Grigorov/REUTERS <長く防戦一方だったウクライナ軍が、ロシア国境のクルスク州に侵攻し、猛攻を仕掛けている。国境地帯にウクライナ軍が集結し、攻めてくるのは「わかっていたのに」と、ロシアのブロガーは憤る> ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は8月7日、遅ればせながら沈黙を破り、西部クルスク州にウクライナ軍が越境攻撃を仕掛けたことを認め、この侵攻を「大規模な挑発」と呼んで強く非難した。 【動画】ロシアが実施した過去最大級の「戦車攻撃」...ウクライナ空挺部隊が連続爆撃で「撃退」するシーン 「クルスク地域で起きていることをこれ以上看過できない」と、プーチンは国家安全保障会議で述べた。「知ってのとおり、ウクライナはまたもや大規模な挑発を仕掛け、ミサイルを含む

    ウクライナ地上軍がロシアに初の大規模侵攻、ロシア軍はなぜ来ない?
  • 人道支援団体を根拠なく攻撃してなぜか儲かる「誹謗中傷ビジネス」

    暇空茜氏は都知事選に立候補し、一度も公に姿を表さないまま11万票を集めた(7月6日、東京銀座) Damon Coulter / SOPA Images via Reuters Connect <訴えられて損害賠償を命じられてもペイするというビジネスモデルの背後にいるのは誰か> 一昨年から始まる「不正会計」デマをきっかけとして、貧困やDVなどの困難を抱えた10代女性を支援する団体Colaboが様々な誹謗中傷を受けている問題で、7月18日、誹謗中傷のきっかけをつくった「暇空茜」を名乗る人物に対して損害賠償を求めた裁判で、暇空氏に220万円の賠償と投稿の削除を命じる判決が出た。昨年3月に出た、Colaboの会計に不正はなしとした東京都の監査結果と合わせて、暇空氏のデマによって女性支援団体の活動が妨害されたという事実が、公的に認められたことになる。 しかしこれで問題が決着したわけではない。暇空氏と

    人道支援団体を根拠なく攻撃してなぜか儲かる「誹謗中傷ビジネス」
  • トランプが銃撃を語る電話音声が流出「バイデンは親切だった」「世界最大の蚊かと思ったら弾丸」

    7月16日、共和党全国大会(RNC)2日目、米ウィスコンシン州ミルウォーキーのファイザーブ・フォーラムで、息子と話す共和党大統領候補で元米大統領のドナルド・トランプ Andrew Kelly-Reuters <ロバート・ケネディJr.の息子がリークした動画には、銃撃を受けた後に行われたバイデンとの「電話会談」の様子を語るトランプの声が> ドナルド・トランプ前大統領の暗殺未遂事件が起きた後、トランプとジョー・バイデン大統領が電話で語った内容が、無所属で大統領選挙に出馬しているロバート・ケネディJr.の息子によって7月16日にリークされた。 【動画】リークされたトランプとロバート・ケネディJr.の電話音声 「ボビー」の愛称で知られる息子のロバート・F・ケネディ3世がX(旧ツイッター)に投稿したのは、14日に父親がトランプと電話する様子を捉えたとする動画。トランプは電話の中で、耳を撃たれた13日

    トランプが銃撃を語る電話音声が流出「バイデンは親切だった」「世界最大の蚊かと思ったら弾丸」
  • 大統領選討論会で大惨事を演じたバイデンを、民主党が差し替える3つの方法

    今すぐバイデンは身を引くべきだ(6月27日の討論会後、夫人と共に退場) BRIAN SNYDERーREUTERS <米大統領選テレビ討論会は、バイデン大統領と民主党にとって比類なき大惨事だった。極めて異例だが、バイデンが撤退して他候補と交代する時間的な余裕はまだ十分にあり、その方法は3つある> 6月27 日に行われた米大統領選テレビ討論会は、バイデン大統領と民主党にとって、そしてこの国の民主主義の未来を案じる全ての人にとって、現代アメリカ政治史上比類のない大惨事だったと言わざるを得ない。トランプ前大統領との討論に臨んだバイデンは、救いようがなく混乱していて、見る者の不安をかき立てた。 バイデンは直ちに身を引くべきだ。11月の選挙を戦う民主党の大統領候補を正式に決める民主党全国党大会の開幕は8月19日。バイデンが大統領選から撤退して、ほかの誰かと交代する時間的な余裕はまだ十分に残されている

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  • SNSにおける教養は「人を殴るための棒」...民衆に殺される時代に「ジャーナリズムの未来」はあるのか?

    『アステイオン』1986年の創刊号から、初期の原稿をたどり「ああ、寄稿者の多くがご逝去されていて、当によかった」と思ってしまった。あの方々がいま生きていらしたら、誰か一人くらいは民衆に殺されていただろう。 普段、イエロー・ジャーナリズムで日銭を稼いで暮らしている私だが、たまに堅気の文も書く。ちょうど数日前に初稿をあげたのは、日の「弱者男性」に関する特集で、日人の3人に1人は、障害や貧困などに苦しめられる、弱者男性によって占められているという話であった。 つまり、男性の過半数は何らかのハンデを背負って生きているという推計である。そんな彼らが、当時の好景気に後押しされた教養主義にあふれる創刊号を目にしたら、革命の狼煙があがったやもしれぬ。 2号には袴田茂樹氏の「『知識人群島』ソ連」が掲載されており、そこにはロシアの民衆へ、同情的な言葉が並ぶ。 「『不足経済』の状況下では、商品や物的環境は

    SNSにおける教養は「人を殴るための棒」...民衆に殺される時代に「ジャーナリズムの未来」はあるのか?
  • 謎のステルス増税「森林税」がやっぱり道理に合わない理由

    <今年6月から、復興税に事実上代わる形で「森林環境税」が国民から徴収されている。しかし当に復興や森林保護などに税金が使われるかは怪しい、と芸人のパックンは指摘します> あなたの一番好きな「税」って、何ですか? 所得税が好き? それとも消費税派? 住民税を推し活中かな?  僕は......有名税だね。 バカバカしい!  税金はとても大事。だが、その使途である公的サービスの恩恵をありがたがっても、基的に税金は国民に好まれない。増税ももちろん基、嫌がられるものだ。できるなら有名税もなくしていただきたい。 しかし、政府に打つ手はある! 国民が「喜んで」までいかなくても「抵抗せず」に増税を受け入れさせる方法がある。それは国民が支持する事業に結びつけることだ。 その代表例が2011年の東日大震災後に導入された新しい税。誰もが応援したい被災地の復興を目的として設けられたものだ。名前も「復興税(復

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  • アメリカで話題、意識高い系へのカウンター「贅沢品としての信念」(luxury beliefs)とは

    <昨今のいわゆるウォーキズム(日の文脈に合わせると意識高い系とでも訳すべきか)へのカウンターとして「贅沢品としての信念」(luxury beliefs)という概念が話題だ。ようやく米国の右派が、左派と勝負できるだけのナラティヴを手に入れつつある......> 米国で「贅沢品としての信念」(luxury beliefs)という概念が話題になっている。元は2019年ごろににちょっと話題になったらしいのだが、私は見逃していた。それが提唱者のロブ・ヘンダーソンが最近自伝「Troubled」を出したこともあって見直され、昨今のいわゆるウォーキズム(日の文脈に合わせると意識高い系とでも訳すべきか)へのカウンターとして持ち出されているようだ。 ヘンダーソンの顔を見ると分かると思うが、ヘンダーソンという欧米系の姓の印象に反して、彼はアジア系米国人である。彼の母親は韓国からカリフォルニアに渡り、大学を中

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  • マゾヒスト女性はその行為を真に欲望しているのか、それとも男性優位社会の社会通念を内面化した「被害者」なのか

    私はマゾヒストであり、この男性から完全に支配されることを望んでいます、と主張する女性がいたとする。私はサディストであり、この女性を縛り、鞭打つことを「愛情行為」として実践しています、と主張する男性がいたとする。これらの行為には同意があるとしよう。これらは、いわゆる「SM」と呼ばれる実践に当てはまる。 対等な成人同士による、同意の上の行為については、それがたとえ一般的な社会通念に沿わないものであっても尊重されるべき、という考えは、現在それなりに支持を得ている。しかしそうはいっても、支配や暴力行為に対する同意については、なんとなく不安を覚えることが多いはずだ。 そもそもその同意は当に人の意思なのか。男性のほうがかなり年上で社会的地位もある場合、女性の同意は信じられるのか。そもそもどのような関係が真に対等な関係と言えるのか。人の気づかないうちに、誘導されているのではないか。そもそも、なぜ支

    マゾヒスト女性はその行為を真に欲望しているのか、それとも男性優位社会の社会通念を内面化した「被害者」なのか
  • 「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗衣氏への名誉棄損に対する賠償命令

    <誹謗中傷で訴訟を起こされた被告が訴訟費用を上回るカンパを集め、さらに裁判過程をコンテンツ化して儲ける「ビジネス」が増えている> 4月18日、文学者の北村紗衣氏が、ネット上で「山内雁琳」を名乗る男性から受けた誹謗中傷を、名誉毀損だとして訴えた裁判の判決が東京地裁で下された。その内容は、雁琳氏は北村氏に対して慰謝料及び弁護士費用の合計220万円を支払うべしというものだった。同種の裁判と比べると、220万円という金額は重いとされている。 原告代理人が「被害者ではなく加害者がカンパを募る「誹謗中傷ビジネス」に対して、裁判所が歯止めをかけた重要な貴重な判決」と述べているように、この判決は、ネット上の誹謗中傷とその裁判がコンテンツとして収益化される風潮に一石を投じるかもしれない。 発端は別の誹謗中傷事件 事の発端は、文学者でフェミニスト批評を行っている北村紗衣氏が、歴史学者である呉座勇一氏のセミクロ

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  • ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ公式」とは?...順番に当てはめるだけで論理的な文章に

    <書くことが苦手な人でも「オレオ公式」を知ることで、誰でも論理的な文章がすぐに書けるようになる> ハーバード大学で受け継がれているライティングメソッドから生まれた「オレオ公式」。 書くことが苦手な人でも「オレオ公式」を知れば、論理的かつ説得力のある「伝わる文章」の達人になれる。 『作文宿題が30分で書ける! 秘密のハーバード作文』(CCCメディアハウス)の「第1章 ハーバード大生みたいに考える」より一部抜粋。 作文上手になるためのセンターピンをねらえ! 以前『ニューヨーク・タイムズ』の記者が書いた『習慣の力』(チャールズ・デュヒッグ著、講談社)というが、世界中で話題になりました。人間の習慣の秘密について著者の考えをまとめたです。 このの中で著者は、「ボウリングのセンターピンを1倒すだけでほかのピンも次々と倒れていくように、まず、その人が変えたいと思うもっとも大きな習慣をひとつ変える

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ公式」とは?...順番に当てはめるだけで論理的な文章に
  • 最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

    <火山の熱や深海の水圧、真空の宇宙空間さえ生き延びるクマムシは、驚くべきDNA修復メカニズムを備えていた> クマムシは想像を絶するほどの過酷な環境を生き延びることができる生物だが、その生命力の謎が解明される可能性が出てきた。 【動画】クマムシは宇宙の最強生物 クマムシはその愛らしい姿から、水グマやコケブタと呼ばれているが、極端な高温や低温、高圧・低圧、空気不足、放射線、脱水、さらには宇宙の真空状態に至るまで、ほとんどの生命体にとって死を招く環境に耐えることができる。 最近、学術誌『カレント・バイオロジー』に掲載された論文によれば、この頑健な生物が放射線を生き延びるメカニズムが解明された。 体長わずか0.5ミリのクマムシは、さまざまな環境で生息している。コケ、落ち葉、淡水や海洋の堆積物などに生息していることが多いが、高温の沸騰泉、ヒマラヤ山脈の頂上、水深4000メートルの深海でも発見されてい

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに
  • 自民党の裏金問題に踏み込めないのも納得...日本が「森喜朗の国」になった経緯とは

    今回のAIイラスト:「日のプーチン」は柔道でなくラグビーがお好き? AI GENERATED ART BY NEWSWEEK JAPAN VIA STABLE DIFFUSION <新聞15紙を読み比べる政治ウォッチャーのプチ鹿島さんが森元首相が権力を掌握した歴史を振り返ると、ロシアのプーチン大統領もびっくりの巧妙さが浮かび上がりました> ロシア大統領選で「圧勝」したというプーチン。彼は2000年の大統領就任後、首相時代を含めおよそ四半世紀も実権を握り続けている。この事実に「まぁロシアはねぇ」とあきれた感じになる方も多いだろう。私もそうだった。でもハッと気付く。「日も似たようなものでは?」 思い出してほしい。プーチンの就任年に、日では森喜朗が首相になった。以降の日はずっと森の影響下に置かれていないだろうか。森は政界を引退したが自民党最大派閥の安倍派(旧・森派)では今も影響力を誇って

    自民党の裏金問題に踏み込めないのも納得...日本が「森喜朗の国」になった経緯とは
  • 「幻覚的ナショナリズム」にとらわれた中国の愛国者たち

    中国政府が初めて承認した中国人ノーベル賞作家である莫言が、「幻覚的ナショナリズム」にとらわれた愛国者たちに訴えられ、全人民への公開謝罪を要求されている> 莫言(モー・イェン)は、中国政府が初めて承認した中国人ノーベル賞作家である。その作品は「幻覚的なリアリズムによって民話、歴史、現代を融合させた」と評価された。魔術的リアリズム(幻覚的リアリズム)の中国語「魔幻現実主義」という言葉は中国で一時的にブームになり、莫言自身も「創作の無限の可能性を掘り返せただけでなく、リアルな社会問題もよく表現できた」と、その評価に納得した。 しかし、受賞から12年たった今、莫言の作品は「革命英雄を侮辱した」と愛国者らに訴えられた。それだけでなく、全国人民への公開謝罪も要求されている。莫言の作品に登場する革命英雄は格好悪く、日軍人などの悪役のほうが格好良く描かれている......といった理由からだ。 これは幻

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  • 日本特有の「不審者」対策がもたらした負の影響 - ニューズウィーク日本語版

    行き過ぎた警戒が人間不信を増幅させ、結果的に犯罪を助長することに(写真はイメージです) yamasan-iStock <サングラス、マスク、黒い帽子──不審者を連想させる定番の外見的特徴だが、実際の犯罪者はほとんどの場合、そんな格好をしていない> 日では、子どもの安全や地域防犯を話し合うため人々が集まれば、必ずと言っていいほど、「不審者」という言葉が登場する。しかし、海外では、この「不審者」という用語が使われることはまずない。私が実施した100カ国の現地調査を踏まえて、そう断言できる。それはなぜなのか。 「不審者」という言葉がまかり通っているのは、日の防犯対策が、「犯罪機会論」ではなく、「犯罪原因論」に支配されているからだ。 犯罪原因論は、読んで字のごとく、犯罪の原因を明らかにしようとするアプローチだが、犯罪の原因は犯罪者の動機にあるとされるので、犯罪の動機を生む「性格や境遇」を重視す

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  • シベリアの投票所で「技術的ミス」、ロシア大統領選で野党候補がプーチンの10倍得票を稼ぐ

    ロシアの大統領選挙で、現職のプーチン大統領は8割近い得票率で圧勝したが、公正な選挙の結果とは思いにくい。その綻びが出た?> ロシアのシベリア南部にある投票所で急遽、3月15日〜17日に行われた大統領選挙の再集計が行われることになった。野党候補のニコライ・ハリトノフが現職のウラジーミル・プーチン大統領の得票数を上回ったためだと、地元メディアが報じた。 再集計が行われたのは、アルタイ共和国の都市バルナウルにある投票所1カ所だ。選挙管理委員会が「技術的なミス」を発見したからだという。この投票所では、共産党のベテラン候補ハリトノフの得票が763票で、プーチンの10倍にも達したと、独立系メディアサイトのメドゥーザが報じた。再集計後の結果はまだわかっていない。誌は、ロシア外務省にメールでコメントを求めている。 政府系機関の全ロシア世論調査センターと世論調査基金が発表した全国の出口調査では、プーチン

    シベリアの投票所で「技術的ミス」、ロシア大統領選で野党候補がプーチンの10倍得票を稼ぐ
  • 『オッペンハイマー』日本配給を見送った老舗大手の問題

    アカデミー賞作品賞を受賞した『オッペンハイマー』のノーラン監督(前列右) Jack Bruber/USA TODAY NETWORK/REUTERS <芸術作品に賛否両輪はつきもので、いちいち「炎上」を気にしていたら芸術活動には参加できない> 今年のアカデミー賞授賞式が終わりました。日や東アジアでは、主演女優賞を受賞したエマ・ストーンと、助演男優賞を受賞したロバート・ダウニー・ジュニアが、アジア系俳優を「無視」したように見えることから、ハリウッドやアメリカ社会に「アジア系差別がある」という取り上げ方がされています。 この問題に関しては、偶発的な行き違いであったように見えるストーンはともかく、ダウニー・ジュニアの場合は確かにお行儀が良いとは言えず、批判は免れないと思います。ですが、こうした事件を取り上げて、ハリウッドやアメリカで社会的なアジア系差別があるとか、自分も被害者だとして憤ったり、

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  • ロシアの脅威を知り尽くしたスウェーデンがNATOを強くする

    スウェーデンが誇るステルス艦、ビスビュー級コルベット艦 Military Channel J/YouTube <ロシアの侵攻を想定して営々と築いてきた軍事力には他国にない特徴がある。一例が、浅海で活動できる潜水艦やステルス性能を持つコルベット艦だ> スウェーデンがNATOに加盟申請をしたのは2022 年5月。ハンガリーが最後まで難色を示していたが、同国議会が加盟を承認し、21カ月に及んだ長い待機期間がようやく終わった。 これでNATO加盟国は32カ国となる。拡大を促したのは、2022年2月に始まったロシアによる格的なウクライナ侵攻だ。フィンランドとスウェーデンの加盟申請には、ウラジーミル・プーチン大統領はじめ、ロシアの閣僚らが脅迫じみた牽制発言を繰り返してきた。 ロシアと約1300キロにわたって国境を接するフィンランドのNATO加盟が2023年4月に確定し、さらに今回その隣国のスウェーデ

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