タグ

ブックマーク / natgeo.nikkeibp.co.jp (35)

  • 最大の魚ジンベエザメが人知れず消えていっている恐れ、最新研究

    アフリカのジブチ沖で、漁に使うライトに、プランクトンと若いジンベエザメが引き寄せられる。(PHOTOGRAPH BY TOM PESCHAK, NATIONAL GEOGRAPHIC IMAGE COLLECTION) 希少なクジラ類と船との衝突事故については以前から世界的に問題になっていた。しかし、世界最大の魚類であるジンベエザメも同じように命を落とすケースが多そうなことは、最近までわかっていなかった。2024年5月1日付けで学術誌「Science of the Total Environment」に発表された80人の研究者による合同研究の論文では、海運がジンベエザメにもたらす脅威について定量的な評価が行われた。(参考記事:「【動画】魚群を狩るジンベエザメの撮影に成功、超貴重な映像」) ジンベエザメは体長10メートルになることも多い。インド洋、太平洋、大西洋など、世界中の熱帯から亜熱帯の

    最大の魚ジンベエザメが人知れず消えていっている恐れ、最新研究
  • 「歩く」魚も、奇妙な深海生物を100種以上発見、すべて新種か

    チリの海山で1月に発見された新種と思われるフサアンコウの仲間。フサアンコウは待ち伏せ型捕者で、「誘引突起」で獲物をおびき寄せて仕留める。(PHOTOGRAPH BY SCHMIDT OCEAN INSTITUTE) チリ沖の深海を探査していたチームが最近、新種と思われる奇妙な生物を100種以上も発見した。SF番組にはエイリアンとの遭遇が付きものだが、たとえ想像上の生物でも、こうした深海生物ほど奇妙なものはほとんどいない。 「探査が進んでいない辺境の海で新種を発見すること自体は予想外ではありませんが、100種以上も発見できたことには感激しています」と主任研究員のハビエル・セラネス氏はナショナル ジオグラフィックにメールで語った。セラネス氏はチリ、北カトリック大学の海洋生物学者だ。 セラネス氏らは1月、シュミット海洋研究所の調査船「ファルコン」で南東太平洋の深海探査に出発した。そして、ライト

    「歩く」魚も、奇妙な深海生物を100種以上発見、すべて新種か
  • コロナ後遺症の「だるさ」、筋肉にまで根深いダメージ、最新研究

    イタリア、ASL3ジェノバ心臓リハビリテーション科でリハビリを受ける新型コロナ後遺症患者。同科では2020年から、新型コロナウイルス感染症で入院した患者のためのリハビリテーションプログラムを実施している。(PHOTOGRAPH BY MARCO DI LAURO/GETTY IMAGES) 新型コロナウイルス後遺症(罹患後症状)の患者の多くは、主な症状として運動機能の低下を訴える。心身に負荷をかけすぎた後は激しいだるさ(倦怠感)に襲われて、その繰り返しにより病状が悪化するおそれがある。「運動後(労作後)倦怠感」(PEM)として知られるこの症状は、「筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群」(ME/CFS)の特徴的な症状でもある。 このほど、新型コロナ後遺症患者にみられる倦怠感に一つの説明を与える論文が2024年1月4日付けで学術誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」に発表された。新型コロナ後遺症の患

    コロナ後遺症の「だるさ」、筋肉にまで根深いダメージ、最新研究
  • 【動画】ホホジロザメの新生児、初の記録か 「信じがたい映像」

    今回の映像は、ホホジロザメの新生児が初めて目撃・記録された例となるのだろうか。米カリフォルニア州サンタバーバラ沖を泳ぐサメの尾からは、子宮内の「ミルク」のような乳白色の薄い膜がはがれ落ちていた。(VIDEO BY CARLOS GAUNA) ホホジロザメ(Carcharodon carcharias)の研究と撮影には、これまで多くの時間とお金が費やされてきたが、出産を目撃した者はだれもいなかった。しかし、米国カリフォルニアで生まれたての可能性がある個体が記録され、1月29日付けで学術誌「Environmental Biology of Fishes」で報告された。 2023年7月9日、映像作家のカルロス・ガウナ氏と個体生物学者のフィリップ・スターンズ氏は、ドローンを使ってサンタバーバラ沖のサメを追っていた。彼らはすでに大型のホホジロザメ数匹を映像に捉えていたが、そのときまったく予想外のもの

    【動画】ホホジロザメの新生児、初の記録か 「信じがたい映像」
  • 処刑された英王妃アン・ブーリンの愛読書、消された文字を発見

    かつてアン・ブーリンが所有していた時祷(じとう)書に紫外線を当てると、肉眼では見えない文字が余白に浮かび上がる。運命に翻弄された王妃の時祷書は、1536年に彼女が処刑された後に所在が分からなくなり、1903年ごろに発見された。(PHOTOGRAPH COURTESY HEVER CASTLE & GARDEN) 英国王ヘンリー8世の2番目のであるアン・ブーリンはしばしば「男を誘惑する女」として、また最終的に英国の宗教のあり方が変わる原因となった女性として描かれる。だが実際のブーリンは、教育と宗教改革に身をささげる知的で信仰心のあつい女性だった。 しかし、1536年5月にブーリンが姦通と近親相姦という無実の罪を着せられて逮捕され、処刑された後、ヘンリー8世は彼女のことを忘れようと決意した。ブーリンの紋章は宮殿の壁から取り去られ、きらめく宝石は暗い金庫にしまい込まれ、彼女が所有していた貴重な

    処刑された英王妃アン・ブーリンの愛読書、消された文字を発見
  • 「トゲトゲの鳥よけ」で巣を作る賢い鳥カササギ、武装化か、研究

    トゲのついた植物で巣作りをするカササギだが、なかには鳥よけ用の剣山が使えることに気付いた鳥がいるようだ。(PHOTOGRAPH BY AUKE FLORIAN HIEMSTRA) 鳥が住宅などの建造物に巣を作らないように、針状のトゲが並んだ鳥よけ用の「剣山」(スパイク)を設置することがある。ところが、ヨーロッパの鳥はこれが気にわないらしく、剣山を引きちぎって巣作りの材料に使い、巣を武装化しているという。 そんな行動を研究したのは、オランダにあるナチュラリス生物多様性センターの生物学者アウケ・フロリアン・ヒームストラ氏だ。「人間が鳥よけとして使っているものを鳥たちが利用して巣を作り、子孫を増やしてしまっています」と、氏は話す。この研究の成果は、7月11日付けで、ロッテルダム自然史博物館のオンライン学術誌「Deinsea」に掲載された。 「とても賢いやり方です。人間の対策を逆手に取る鳥たちが

    「トゲトゲの鳥よけ」で巣を作る賢い鳥カササギ、武装化か、研究
  • コロナ後遺症の謎を解く鍵? 「毛細血管を詰まらせる微小血栓」

    走査型電子顕微鏡(SEM)による血栓の拡大画像。繊維状のタンパク質によってできた網に、血小板(青紫)という小さな細胞片と赤血球が引っかかってできている。毛細血管にできるものは微小血栓と呼ばれる。(MICROGRAPH BY ANNE WESTON/EM STP, THE FRANCIS CRICK INSTITUTE, SCIENCE PHOTO LIBRARY) 新型コロナウイルス感染症から回復した後も、多くの人が悩まされるコロナ後遺症(罹患後症状)。その仕組みを解明する研究が2年以上にわたって行われてきたなかで提唱された仮説の一つに「微小血栓」がある。微小血栓ができて毛細血管がふさがれると、血液や酸素の流れに影響が生じ、様々な症状につながるという説だ。 新型コロナ後遺症と微小血栓が関連している可能性を最初に指摘したのは、南アフリカ、ステレンボッシュ大学の生理学者イセレシア・プレトリウス

    コロナ後遺症の謎を解く鍵? 「毛細血管を詰まらせる微小血栓」
  • コロナ後遺症の4割が苦しむ「脳の霧」、脳内伝達の破壊が一因か

    ヒトの神経細胞(ニューロン)は、細胞体、長い軸索、クモのような樹状突起で構成される。神経細胞同士の接合部位「シナプス」によって、神経細胞は互いにコミュニケーションをとることができる。(PHOTOGRAPH BY JAMES CAVALLINI, SCIENCE SOURCE) スウェーデンのカロリンスカ研究所の科学者たちが、脳オルガノイド(実験室で培養した小型の脳組織)に新型コロナウイルスを感染させたところ、神経細胞(ニューロン)間の結合部である「シナプス」の破壊が促進されることが分かった。2022年10月5日付けで学術誌「Molecular Psychiatry」に発表された。 この発見は、新型コロナウイルスがどのようにして中枢神経系に侵入し、病気を引き起こすかについての理解をさらに深めるものだ。ここ2年間で、新型コロナからの回復後も長く持続する神経と行動の問題が報告されてきた。その一つ

    コロナ後遺症の4割が苦しむ「脳の霧」、脳内伝達の破壊が一因か
  • クモの巣に止まって獲物を横取りする鳥がいた、初の科学的な報告

    裏庭で逆光を浴びて光るジョロウグモの巨大な巣。米国ジョージア州で撮影。(PHOTOGRAPH BY BLUIZ60, ALAMY STOCK PHOTO) 2022年9月13日、米国アトランタ在住のナチュラリスト兼園芸家アーティー・シロンス氏は、台所の窓から、巨大なクモの巣に捕らえられた鳥を見つけた。ショウジョウコウカンチョウ(猩々紅冠鳥)のメスのようだ。 ところがよく見ると、鳥はクモの巣に絡まってはいなかった。クモの巣に止まって、クモの獲物を盗んでべていたのだ。巣の主は、米国では外来種であるジョロウグモ(Trichonephila clavata)だった。(参考記事:「米国で急拡大するジョロウグモ、東部一帯に広がるおそれ、研究」) ショウジョウコウカンチョウはクモを追い払い、巣にかかった昆虫をいくつかべると飛び去った。 わずか2分ほどの出来事だったが、シロンス氏は何か特別なものを目撃

    クモの巣に止まって獲物を横取りする鳥がいた、初の科学的な報告
  • 新種のフクロウを発見、100年前から謎だった声の主がついに判明

    2019年1月27日、プリンシペコノハズク(Otus bikegila)を手に乗せるマーティム・メロ氏。プリンシペコノハズクの研究サンプルとなった個体は、これが3羽目だ。(PHOTOGRAPH BY BÁRBARA FREITAS) アフリカ大陸西海岸の沖に浮かぶ小さなプリンシペ島では、夜な夜な奇妙な鳴き声が聞こえるという。 その声を耳にした者はそう多くはない。誰も住む者のない島の南部に広がる原生林から、日暮れ直後に聞えてくるのは、虫か、か、はたまた猿の鳴き声か。島民が初めてこれについて記したのは1928年のことだが、夜の闇のなか、高くそびえる木々の間を見通す術もなく、これまで正体がつかめていなかった。 しかし最近になってようやく、その声の主は小さな黄色い目を持つ新種のフクロウであることが明らかになった。この発見は、2022年10月30日付けで動物学の専門誌「ZooKeys」に発表された

    新種のフクロウを発見、100年前から謎だった声の主がついに判明
  • 絶滅とされた古代ローマ「幻の植物」をおそらく発見、食べてみた

    マームット・ミスキ氏の手のひらに置かれたフェルラ・ドルデアナの花。トルコ中央部ハッサン山の近くで採取したもの。(PHOTOGRAPH BY ALICE ZOO) 黄金の花を咲かせる植物「シルフィウム」は、古代ギリシャの勃興前からローマ帝国の最盛期まで、地中海世界で最も愛された材のひとつだった。 腹痛からイボの除去まであらゆる症状に効く万能薬とされたほか、レンズマメを煮込む際に香辛料として使われたり、最高級のフラミンゴ料理に添えられたりもした。ユリウス・カエサルがローマに君臨した時代には、黄金とともに500キロ以上のシルフィウムが宝物庫に貯蔵され、その苗には銀と同等の値がつけられたという。(参考記事:「古代ローマで大人気、万能調味料「ガルム」とは」) シルフィウムに関する最古の記録は、紀元前638年のもの。北アフリカ、現在のリビアがあるキレナイカの沿岸で「黒い雨」が降った後にこれが生えたと

    絶滅とされた古代ローマ「幻の植物」をおそらく発見、食べてみた
  • 絶滅寸前のオオカミ、10頭を野生に放つも「失敗」、米国

    米国テネシー州で飼育されているアメリカアカオオカミのルビー。野生に放った際に生存率を高めるため、多くのアメリカアカオオカミが事前にこのような類似環境で育てられる。(Photograph by Jessica A. Suarez, Nat Geo Image Collection) 米国に生息するアメリカアカオオカミ(Canis rufus)は、世界で最も絶滅に近いオオカミだ。1980年には野生での絶滅が宣言され、その後、飼育下の個体を野生に放つ取り組みが続けられてきた。 2022年2月~4月、米国魚類野生生物局が長年取り組む回復プログラムの一環で、合計10頭のアメリカアカオオカミが、飼育下からノースカロライナ州の野生動物保護区に放たれた。これによって、野生下にあるアメリカアカオオカミの数は、ほぼ倍の20頭になった。 この取り組みは、センサー付きカメラを通じて世界中に配信され、自然保護団体は

    絶滅寸前のオオカミ、10頭を野生に放つも「失敗」、米国
  • ポルトガルのイワシ漁船に乗ってみた、崖っぷちから復活か

    水面で体を虹色にきらめかせながら餌をべる、生後数日のイワシの幼魚。気候変動によって上昇しつつある水温のわずかな違いが、餌の確保、ひいては幼魚が生き延びられるかどうかに大きな影響を与える。(PHOTOGRAPH BY JOÃO RODRIGUES) その昔、ポルトガル、リスボン郊外の村々では、イワシを入れた籠を背負ったロバのひづめの音が聞こえてくると、住民たちがすかさず通りに出てきたという。ポルトガルの海の幸であるイワシは、どの家庭からも引く手あまただった。しかし、1773年初頭のある日、今でいう首相のような立場で国を仕切っていたポルトガルの政治家、ポンバル侯爵が、大量のイワシがまたしても国境を越えてスペインへ密輸されたことを耳にした。業を煮やした侯爵は、ついに対策に乗り出した。 侯爵はすみやかにアルガルベ王国王立漁業総合会社を設立し、これ以降、イワシ産業はリスボンの中央政府の管理下に置か

    ポルトガルのイワシ漁船に乗ってみた、崖っぷちから復活か
  • バイソンが草原に戻ると植物種が86%も増える、30年かけて究明

    カンザス州カントンのマックスウェル州立動物保護区に立つ野生のアメリカバイソン。カンザス州には、トールグラス・プレーリーという危機にひんする生態系も存在する。(PHOTOGRAPH BY JOEL SARTORE, NAT GEO IMAGE COLLECTION) 過去29年間、米国カンザス州東部に広がるトールグラス・プレーリー(丈の高い草が広がる草原)の同じ区画を年2回ずつ歩き、見つけうる限りの植物種を集計してきた科学者たちがいる。その目的は、アメリカバイソン(Bison bison)と家畜のウシが生態系に与える影響を、これらの草動物がいない同様の区画と比較して明らかにすることだった。 暑くて、根気のいる、ダニだらけの仕事だが、とても重要な仕事だ。かつてトールグラス・プレーリーは南部のテキサス州の大部分から、さらにカナダ南部にまで広がっていた。それが今やかつての4%しか残っていない。腰

    バイソンが草原に戻ると植物種が86%も増える、30年かけて究明
  • 古代エジプトのミイラに謎の民エトルリアの文字、衝撃の発見録

    「ザグレブの亜麻布の書」に記されたエトルリア文字。書はのちに細く裂かれ、エジプトのミイラを包むのに使われた。(COURTESY OF THE ARCHAEOLOGICAL MUSEUM OF ZAGREB, PHOTOGRAPH BY IGOR KRAJCAR) 1868年、クロアチア(当時はオーストリア・ハンガリー帝国の一部)のザグレブ博物館が、古代エジプトの女性のミイラを手に入れた。ミイラを包んでいた布は前の所有者によってほどかれていたが、ミイラと一緒に引き渡された。 ミイラになった女性は王族や聖職者ではなく、一般人だった。しかし、彼女を包んでいた亜麻布には、非常に興味深い謎があった。亜麻布に書かれていた文字が、エジプトの象形文字(ヒエログリフ)ではなかったのだ。文字の正体は、布を調べたドイツのエジプト学者ハインリッヒ・ブルクシュにもわからなかった。 23年後の1891年、博物館は、こ

    古代エジプトのミイラに謎の民エトルリアの文字、衝撃の発見録
  • ミミズは侵略的外来種、北米で昆虫に大きな被害の恐れ、研究

    家庭菜園や花壇では益虫とされるミミズだが、北米の多くの森林など、来ミミズが生息していなかった土地では、在来動物に意外な悪影響を及ぼしている。(PHOTOGRAPH BY STEPHEN DALTON, MINDEN PICTURES) 2021年の暮れに亡くなった生物学者のエドワード・O・ウィルソン氏は、かつて昆虫のことを「世界を回している小さな者たち」と呼んだ。だが、この5年間、昆虫の激減を示す報告が集まっており、今後をめぐる議論が盛んに交わされている。激減の主な原因とされているのは、生息地の破壊、殺虫剤の過剰な使用、そして気候変動だ。(参考記事:「農業の毒性が48倍に、『沈黙の春』再び? 研究」) だが3月30日付けで学術誌「Biology Letters」に掲載された論文が、少なくとも北米の広範囲における、もうひとりの意外な容疑者を指摘した。それはミミズだ。 この研究では、カナダの

    ミミズは侵略的外来種、北米で昆虫に大きな被害の恐れ、研究
  • 奇跡のタイ洞窟救出劇、リーダーに聞く「プランBはなかった」

    タイ北部のタムルアン洞窟から出てくる英国人の洞窟ダイバー、リチャード・スタントン氏。2018年、浸水したこの洞窟に、少年サッカーチームのメンバー12人とコーチ1人が18日間取り残された。 (PHOTOGRAPH BY LINH PHAM, GETTY IMAGES) 2018年、タイ北部のタムルアン洞窟に、地元のサッカーチームの少年12人とコーチ1人が入った。しかしその後、洞窟内の水位が上昇し、彼らは戻れなくなった。この出来事を知った現地在住の英国人洞窟探検家は、タイ当局に1枚の紙を手渡した。その紙に書かれた3人の名前は、リック・スタントン、ロブ・ハーパー、ジョン・ボランサン。 「この3人は、世界最高の洞窟ダイバーです」と、紙には書かれていた。「彼らに連絡してください。時間がありません」 3人は、24時間以内に現場に到着。その後の数日間で、世界屈指の軍隊でも実行するのが難しい、大胆な救出作

    奇跡のタイ洞窟救出劇、リーダーに聞く「プランBはなかった」
  • 第1回 バイキングと北欧神話とトールキンの「異世界」へようこそ

    社会が閉塞感に覆われた時、ファンタジー小説映画、マンガ、アニメなどが流行しがちだという。現実の先行きが見通せない時に、人は「ここではないどこか」、つまり異世界を求めるのかもしれない。 2020年のはじめよりのパンデミックで世界が「縮んで」しまった時、日では鬼と対決する若者たちを描いた「ファンタジー」が社会現象になった。様々な「異世界」に転生するパターンを踏襲する小説やマンガも追いきれないほど描かれた。 一方で、ぼく個人の経験としても、感染症疫学や国際保健の基礎知識を読者に届ける仕事を少しはしつつも(WEBナショジオで、神戸大学の中澤港教授と10回に渡る長大な連載をした)、心は「ここではないどこか」にあったように思う。読書傾向もファンタジーに寄っていったし、『ロード・オブ・ザ・リング』などのファンタジー巨編映画を配信サービスで久しぶりに鑑賞したりもした。『スター・ウォーズ』サガ(シリーズ

    第1回 バイキングと北欧神話とトールキンの「異世界」へようこそ
  • ネオニコチノイド系殺虫剤を使い始めた1993年に起きたこと

    島根県宍道湖におけるウナギとワカサギの激減と殺虫剤ネオニコチノイドの関連をひもとく論文が、学術誌「Science」に発表されたのは2019年のこと。この研究を主導したのが、宍道湖の研究をライフワークとする東京大学教授の山室真澄氏だ。その核心はナショジオのニュースでも紹介したが、科学ミステリーのような山室氏の新刊『東大教授が世界に示した衝撃のエビデンス 魚はなぜ減った? 見えない真犯人を追う』(つり人社)から、ネオニコチノイド系殺虫剤がウナギやワカサギのエサに及ぼした悪影響についてのエピソードを紹介する。(全3回) 動物プランクトンとエビ類が激減 ネオニコチノイド系殺虫剤は昆虫類の神経系に作用するが、同じ節足動物である甲殻類の神経系は昆虫類とほぼ同じだ。となると、宍道湖の魚にとってエサとして重要な動物プランクトンの大部分を占めるキスイヒゲナガミジンコは、もしかしたらネオニコチノイド系殺虫剤の

    ネオニコチノイド系殺虫剤を使い始めた1993年に起きたこと
  • 【解説】女王死去で変化、「英連邦」と「英連邦王国」とは何か

    栄華を誇った大英帝国は、20世紀初頭から、自治権を要求する声に押され、カナダ、南アフリカ、インドなどの領土を手放した。だが、旧植民地は、英連邦としてつながりを維持した。英連邦の名称は当初British Commonwealth of Nationsだったが、今はCommonwealth of Nationsとなっている。(PHOTOGRAPH BY SWIM INK 2, LLC, CORBIS/CORBIS VIA GETTY IMAGES) エリザベス女王の死去によって、英国だけでなく、「英連邦(Commonwealth of Nation、コモンウェルス)」でも権力の移行が起きている。英連邦は、旧英国植民地を中心に構成された国際組織で、加盟する56カ国は、英連邦の一員として英王室との関係を維持してきた。 このうち15カ国は、現在も英国王を君主とする「英連邦王国(Commonwealt

    【解説】女王死去で変化、「英連邦」と「英連邦王国」とは何か