いわゆるロストジェネレーションである。1990年代半ば~2000年代前半の「就職氷河期」に就職した若者たち。 そのひとり、東京大学法学部出身の男性は、経済産業省を辞めてしまった。2000年代初め、入省3年目の春のことだ。退職理由は、「パスが見えるのが耐えられない」だった。 パスとは、入省後2年間は雑用、その後に係長、課長補佐、16~17年後に課長といったお決まりの昇格のルートを指す。 現在32歳のこの男性は、高級官僚の肩書きをあっさり捨てた後、ITベンチャー役員→タイルメーカー役員と職を移る。 「努力の継続こそ美徳」が通用しない世代 本書は、冒頭の元官僚を含むこの世代の学歴エリートたち8人が、いかなる理由で入社間もなく辞職し転職したのか、何層にも重なる心模様や葛藤を、1人当たり40ページ以上かけて綿密に描いたノンフィクションである。 史上最年少の26歳で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した
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