食べたものをうまいまずいだけで評価するのは現代人。古代エジプト人は、食べられるだけ、ビールを飲めるだけで幸せだった。それは自然や神の恵みを授かっているという実感があったから。 今、現代人が陥っているのは──私もそういう傾向がありますけど──ものを食べたときに、うまいかまずいかだけで評価するんですね。でも古代のエジプト人は、食べられるだけで幸せなんです。ビールも飲めるだけで幸せ。コクがどうとかキレがなんだとか言いません。 とにかくこの世で何が一番幸せか、それは食事の時なんですね。つまり自然の、神の恵みを授かっているという実感があったのだと思うのです。 ですから農産物でもビールでも、まず神様に捧げて、それからいただくという姿勢。これは昔の日本にも共通していますよね。 なぜ食べものを神様に捧げるかというと、それは「食べる」ということが、ほかの生命体のいのちを奪うことだからなんですね。 それは今も