妥協を許さぬストイックさ 桧山進次郎は、早朝、お世話になった人達にメールを打った。 「朝早くからすいません。ご報告! 今シーズンをもちまして現役引退を決意しました。色々とお世話になりましたが、今後も宜しくお願いします」 一部スポーツ紙に「桧山引退」と報じられ、急遽、引退会見が設定されることになった。その前に自分の口から引退の意志を伝えておきたい……義理や人情を大切にする桧山らしい行動だった。44歳。阪神一筋22年……数々の代打記録を塗り替え『代打の神様』と呼ばれた男が、タテジマのユニホームを脱ぐことを決意した。 「正直、ホッとしている」 彼の会見での一問一答は、他の速報サイトを参考にして欲しいが、この一言を聞いて「ひーやんらしいな」と思った。 どうすれば打てるか? どうすれば試合に出れるか? 求道者のように崇高なモチベーションを持ち続けた。裏を返せば、それは準備や努力を決して怠ることができ