1・春はあけぼのすまじきものは今は昔、それは21世紀の初頭、とか書いてしまうと太古の昔を思わせるが、それは今から約20年前、アラやっぱり結構昔。 その春、大学を無事卒業したのに性懲りもなく何の役にも立たない文系大学院で、何の役に立つのか皆目見当もつかない哲学宗教系の謎学問を学ぶ予定だった私は本気で困窮していた。 家賃と学費を払ったら、口座に本気で2桁の金額しか残らなかったのだ。 パンないならケーキも無い当時22歳。 それで大学が長期休暇中の春、その22歳の私は朝はホテルの朝食サービス、昼から夜は宴会場での宴席、間に暇があれば和食の宴席で偶に合わせを逆にして、私は左右が未だによくわからないのだ、叱られながら和服を着て膝行しながら皿と料理とお酒を運びまくっていた。 学問も研究も衣食住が無ければ成り立たない。 背に腹も変えられない。 腹がすいては何とやら。 2・萌黄色は敵という当時その朝も早朝5
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