2023年6月30日に国連マリ多面的統合安定化ミッション(MINUSMA)の即時活動停止及び年内の撤退が安保理で決議されて以来、アフリカにおけるPKOの凋落が加速している。コンゴ共和国は9月の国連総会で国連コンゴ民主共和国安定化ミッション(MONUSCO)の撤退を早めることを要請し、安保理が今年中にその方向で決議を採択することになっている[1]。PKOが去った後のアフリカの平和と安全保障はどうなるのだろうか。本稿ではマリの現状を中心に、今後の短中期的な傾向を探る。 MINUSMA撤退 拙稿で論じたように、これまで大型PKO終了後は平和醸成を主眼とした国連特別政治ミッション(Special Political Mission: SPM)への移行が主流であった[2]。しかしMINUSMA撤退計画について8月に事務総長から安保理に出された書簡では、後任SPMの設立という選択肢はなく、現地国連諸機