NHKニュースが死んだ日 メディアの「信用」は「番組」に内在する 初出:『論座』、朝日新聞社、2005年6月号 噴出するNHK問題から、ライブドアによるニッポン放送株買収の「ホリエモン騒動」まで、このところ世間を騒がせてきた一連の出来事は、私たちの国のメディアが抱える構造的な問題をあらためて浮きぼりにした。しかし、せっかく芽生えかけた公共放送やメディア産業についての本質的な問いかけのチャンスを、興味本位の「狂騒劇」に紛らわせてしまってはならないだろう。少なくとも現在までのところは、本質的な議論は不発に終わっているし、むしろ意図的に避けられている感がある。うやむやや痛み分けで話題が閉じられるとき、残されるのは、以前よりも性の悪い居直りであり、あきらめとシニカルな現実追認であり、それでは私たちのメディア社会の行方にはますます濃い霧が立ちこめるばかりだ。 実際、最近の「ホリエモン騒動」と