電車内でiPodを楽しんでいる風景は珍しいものではなくなった。最早生活の一部と化したといってもいい。iPod登場によってミュージックライフはどのように変化したのか、また、今後iPodに何を期待するのかを音楽制作現場に詳しく、自身もアーティストであるサエキけんぞう氏に聞いた。(聞き手:涌井 健一朗、写真:中島 正之) ──iPodの登場により、音楽を制作する立場として変化はありましたか。 サエキ氏:時代が楽曲中心主義に戻ってきているところがありますね。iPodやiTunesのシャッフル再生機能で1曲1曲をバラバラに聴くようになったので、“1曲の出来”が問題になってきたと思います。CDアルバムを普通に曲順通りに聴くことは少なくなりました。 ――近年ベストアルバムが多いのは、楽曲中心主義を広めたiPodの影響でしょうか。 サエキ氏:実はiPod人気が本格的になる前に、売れ筋の曲を集めた「NOW」